テーマパーク断念、新交通も…揺らぐ横浜の米軍跡地開発

武井宏之
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 横浜市瀬谷、旭区にまたがる米軍上瀬谷通信施設跡地(約242ヘクタール)で、「超大型テーマパーク」開発を検討していた相鉄ホールディングス(HD)が、検討を断念した。市は相鉄線瀬谷駅付近と跡地を結ぶ新交通システムを、2027年までに開業させる方針だが、利用客の見込みが立たなくなった。

 「まだ、具体的な内容はまとまっていない」

 28日の横浜市議会一般質問で、平原敏英副市長がテーマパークの検討が難航していることを認めた。相鉄HDのテーマパーク断念についてはふれなかった。

 市は昨年3月、跡地の半分強の約125ヘクタールに、「テーマパークを核とした複合的な集客施設」を誘致し、将来的に年間1500万人の来訪者を見込む計画を立てた。

 跡地は、民間地権者と国が約45%ずつ、残りの約9%を市が所有する。テーマパークは約250人の民間地権者でつくる「まちづくり協議会」が検討。相鉄HDは「検討パートナー」としてかかわった。相鉄HDは、東京ディズニーランド千葉県浦安市)などを具体例に、「超大型テーマパーク」開発を協議会に提案していた経緯がある。

 ところが、関係者への取材を総合すると、相鉄HDは米国の大手映画会社と共同事業の交渉を進めたが、昨年春に不調に終わった。別の映画会社などとも協議したがこちらも実を結ばず、今年4月、テーマパーク検討を事実上断念する考えを協議会に伝えた。

 市は跡地への公共交通機関として、専用軌道をゴムタイヤの車両が走る新交通システム「上瀬谷ライン」(仮称)の整備を決めており、運行事業者が今年度中にも軌道法に基づく特許を国土交通省に申請する方針だ。事業費約700億円のうち、市は少なくとも地下トンネルや駅舎など建設費約410億円を負担する。

 一般質問では、小粥康弘氏(立憲・国民フォーラム)が「新交通システムの特許申請は、将来的なまちづくりや土地利用の状況を見極めた上で行うべきだ」と慎重な対応を求めた。

 これに対し、平原副市長は「将来的な土地利用の検討を踏まえ、整理する。その上で事業実施について、総合的に判断する」と明言を避けた。

 跡地では南側約100ヘクタールを会場に、市が誘致した国際園芸博覧会(花博)が27年3~9月に開催される。市は1千万人以上の有料来場者を見込み、輸送手段の一つとして、新交通システムに期待している。

 だが特許申請は、将来にわたって利用客のニーズがあり、経営が成り立つという根拠を示せなければ認められない。市は「年間1500万人」という集客目標をもとに、LRT(次世代型路面電車)などより輸送力が大きい新交通システムを選んだ。今年度中の特許申請が間に合わなければ、花博向けにバス輸送などの代替策を検討する必要に迫られる。

 また、テーマパークなどの検討は、大手不動産会社が事実上引き継ぐ方向で検討が進んでいるが、今後も「年間1500万人」の集客目標にしばられる状況は変わらない。

 テーマパーク、花博、新交通システム……。平原副市長は昨年6月末の市議会常任委員会で、「一つころぶとみんなころぶ状況」と述べ、上瀬谷をめぐる事業の連携の必要性について言及していた。今回の相鉄HDのテーマパーク断念は、その一角が崩れたことを意味する。武井宏之