町民に全戸配布マスク、購入先どう選んだ 住民監査請求

三ツ木勝巳
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 山梨県市川三郷町が昨年夏、町民に配ったマスクをめぐり、住民監査請求が出された。調達に不自然な点があったという指摘のほか、品質面でも課題が浮上した。町はいっときでも早くマスクを届けようとしたと説明している。

 町は、新型コロナウイルス感染症の拡大でマスクが不足していたため、随意契約した町内の業者からマスク6700箱を約2100万円(税込み価格)で購入。町内の全世帯にあたる約6700世帯に昨年6月から8月、1箱50枚入りのマスクを配布した。

 この随意契約について、町民3人は、納入業者の選定理由が「極めて不明朗だ」などとして、久保真一町長はマスクの購入や配布の経費など計約2600万円を町に賠償すべきだとする住民監査請求を5月12日に出した。

 監査請求書によると、地方自治法や町の財務規則では、購入金額が50万円以内か緊急性がある場合、競争入札ではなく随意契約にできるが、見積り期間を短くすれば競争入札ができたとしている。

 町は昨年5月の臨時議会にマスクの購入契約の締結案を上程し、可決された。予定価格は1枚60円と設定。監査請求書では、この価格を導く市場調査を行ったのが3月下旬から4月上旬で、業者の見積もりを開封した5月21日にはもっと下落していたと主張している。

 これらの問題は5月や12月に開かれた町議会でも取り上げられた。町幹部は「一時でも早く町民の皆さまにお届けさせていただきたいという思いの中で、こういうふうな結果になった」などと答弁し、緊急性があったことを強調した。

 また、監査請求書では、品質についても疑問を投げかけた。耳掛けひもが「何時切れるのか、どこで切れるのかわからず不安で外出時に使用できない」などとし、鼻の押さえに先端のとがった針金を使用していることなども指摘し、「欠陥マスク」としている。

 町は、耳掛けひもについて「全戸配布させていただいたマスクの一部に、マスクのゴムがとれやすいなどの不具合が報告されておりますので、使用の際は十分な注意をお願いします」などと書かれたビラを配布している。監査請求書は「町長はこのマスクが欠陥商品であることを認めた」と結論づけている。

 町監査委員事務局は、請求要件を満たしているか審査し、満たしていれば受理するとしている。

 監査請求が出されたことについて町の担当者は「まだ受理されていない段階で、コメントできない。マスクについては、前例がない状況が発生し、急いで対応しなければと考えた。災害に匹敵するという思いがあった」と述べた。

 請求者の一人の男性(71)は「調べていくうちに怒りがこみあげてきた。これまでずっとまじめに税金を納めてきたが、返して欲しいという思いだ」と話している。(三ツ木勝巳)