サヨナラ勝ちで近畿V、大阪桐蔭が「第一関門」を突破

山口裕起
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 (30日、春季近畿地区高校野球大会決勝 大阪桐蔭4―2智弁学園)

 右翼フェンスの先の芝生で白球が弾むと、一塁ベンチから一斉に選手が飛び出した。

 大阪桐蔭の藤原夏暉(3年)は、一塁ベースを回ったところで走るスピードを緩めた。ぐっと右拳を握る。「絶対に優勝しようとみんなで誓い合った。最後に決められてよかった」。3年ぶり6度目となる春の近畿王者を、サヨナラ本塁打でたぐり寄せた。

 昨秋の近畿大会決勝、今春の選抜1回戦で敗れた智弁学園(奈良)との決勝は、またも智弁学園に主導権を握られた。だが、食らいつく。二回、1点を先行された直後に野間翔一郎(3年)の適時三塁打で追いついた。六回に2―1と勝ち越されても、七回に松尾汐恩(しおん)(2年)が2死から同点打を放った。

 再三のピンチを堅守でしのいで延長へ持ち込むと、迎えた十回1死一塁。2番打者の藤原は2球目までバントの構えをしていた。だが一転、2ボール2ストライクからの5球目を振り抜く。「三度目の正直」を告げるアーチが描かれた。

 優勝候補に挙げられながら選抜で屈辱を味わったチームは、「近畿優勝」を目標に練習に打ち込んだ。もちろん、狙うは「夏の甲子園で日本一」だが、そのためには近畿を制する力が必要、との考えが西谷浩一監督にはあるからだ。

 2000年以降、大阪桐蔭は夏の甲子園で4度優勝している。そのうち12、14、18年は春の近畿も制した(08年は準優勝)。この近畿大会前、西谷監督は選手を集めてその事実を伝えたという。「日本一になった先輩たちは春の近畿で優勝している。君たちも本気で日本一をめざすなら……」と。

 選手たちは、29日の準決勝・智弁和歌山戦から連日のサヨナラ勝ちで意地をみせた。二枚看板の左腕・松浦慶斗(3年)と右腕・関戸康介(3年)は今大会に登板せず、チーム全体の底上げも実感している。藤原は言った。「優勝したけど誰も浮かれていない。さらに気持ちが引き締まりました」。夏の頂点へ、まずは第一関門を突破した。(山口裕起)