キューバ、消えないカストロ家の影響 権力の二重構造化

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聞き手・日高奈緒
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 カリブ海の社会主義国キューバで今年4月、一党支配を続けるキューバ共産党トップのラウル・カストロ第1書記(89)が党職を引退しました。兄の故フィデル・カストロ氏とともにキューバ革命を率いた「カストロ」の名が、政治の表舞台から消える――。そんな歴史的な節目を経て、今後のキューバはどうなるのでしょうか。アジア経済研究所の新領域研究センター・グローバル研究グループ主任研究員で、キューバやカリブ地域の事情に詳しい山岡加奈子さんに聞きました。

 ――2016年に亡くなった故フィデル氏とともに革命を率いたラウル氏とは、どんな人物なのでしょうか?

 フィデル氏とラウル氏は、全く違うタイプだと思います。兄はカリスマ的な人気があり、演説が上手で何時間でも話すことができましたが、ラウル氏が演説をすると、原稿の書かれた紙から目を離さず、10分ほどで終わってしまうほどでした。フィデル氏が健康上の理由で08年に弟を後継にしたときは、「ラウル氏に要職が務まるのか」と私は心配してしまうくらいでした。

 ただ、演説についてはだんだん上達し、今年4月の共産党大会では長く話せていました。それなりに努力もしたのだと思います。

 ――そのカリスマ的な兄と比べて、ラウル氏の政治家としての評価はどうですか。

 周りを引っ張っていくような、兄のまねをしなかったのはラウル氏の賢さですね。兄と同じスタイルはできないということが分かっていたのだと思います。すでに16年の第7回キューバ共産党大会では任期満了をもって引退する旨の発言をしており、実際、その言葉通りに行動しています。今振り返ると、予想よりは安定した政治を行ったと思っています。

 ただ同時に、目覚ましい成果はなかったともいえます。フィデル氏は米国を敵として激しく対立し、改革にも後ろ向きでした。米国の経済制裁などで国民の暮らしは楽ではなく、ラウル氏による経済改革を期待する声が大きかったのですが、共産党による一党支配を続けながら経済成長をしている中国やベトナムのようにはキューバはなっていません。

軍にラウル氏の一人息子

 ――ラウル氏も引退し、「カストロ」の名が政治の表舞台から消えました。どんな変化が起きるのでしょうか?

 実際は、カストロ家の影響が…

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