北斎×しりあがり寿 パロディーで共有する「遊び心」

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大野択生
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 ザッパーンと音が聞こえてきそうな、高くうねった波の向こうに雪化粧した富士山が見える。あの葛飾北斎浮世絵が、あるときは騒々しい銭湯に、またあるときは真っ赤な太陽のフレアに、そして、あるときは黄色い揚げ油に変わってしまう。

 北斎の浮世絵に、漫画家・しりあがり寿(63)がイラストを加えたり、富士山の大きさや海の色を大胆に変えたりしたパロディー作品だ。それらは、どれもクスッと笑ってしまうものばかり。そして、その自由な発想に驚かされる。

写真・図版
しりあがり寿「ちょっと可笑しなほぼ三十六景 銭湯でこども大暴れ」(通期展示)=(C)しりあがり寿 すみだ北斎美術館蔵

 どうしてこんなふうになるのか? 本人に聞いた。

 ――「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」の絵からあのように発想を広げることができるのか、と驚きました。インスピレーションの源泉はどこにあるのでしょう。

 「一言で言えば『組み合わせ』です。なんでもいいわけではなく、意外なモノ同士を組み合わせると、もとの絵とは違う何かが出来上がる」

写真・図版
葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」(前期のみ展示)=すみだ北斎美術館蔵

 ――最初から構想が頭の中にあるのですか。それとも描いているうちに浮かんでくるのですか。

 「いろいろですね。『方舟(はこぶね)』の絵は、『神奈川沖浪裏』の絵をどうしようかと描いているうちに『これ、ノアの方舟の物語にできるな』と思い、舟に乗る動物を描き足してみました。『銭湯でこども大暴れ』は、大海原を小さなお風呂屋さんの水面に見立てたらどうだろう、というアイデアから広がりました」

写真・図版
しりあがり寿「ちょっと可笑しなほぼ三十六景 方舟(はこぶね) その二」(通期展示)=(C)しりあがり寿 すみだ北斎美術館蔵

朝日新聞夕刊で4コマ漫画「地球防衛家のヒトビト」も連載中のしりあがり寿さん。コロナ禍を風刺した北斎のパロディー作品もあります。記事後半では、「もし北斎がコロナ禍に立ち会ったら……」といった話題も語ります。

 ――アイデアは無尽蔵ですか…

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