接種予約欠陥報道に抗議 現場の奮闘盾にする政治の過ち

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編集委員 高橋純子
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記者コラム「多事奏論」  編集委員 高橋純子

 新型コロナワクチン大規模接種の予約システムには「欠陥」がある。そう調査報道した朝日新聞出版と毎日新聞防衛省が抗議したことに呼応し、あの人が動いた。

 「朝日、毎日は極めて悪質な妨害愉快犯と言える」(安倍晋三氏のツイート)

 あまりに奇天烈(きてれつ)な難癖に驚き、マスクの下で音読してみる。メガネが曇る。

 大きな穴を見つけたら、「ここに穴があります(気をつけて)」と世間に知らせるのはメディアとして当たり前のことだ。それを愉快犯呼ばわりする前首相のやり口になんだかすっかり慣らされてしまった感があるが、本来とても異様なことである。

 「敵」を名指すことで問題の本質から目をそらさせ、失政をごまかし、仲間内の結束を高めて政権の底支えにつなげる。その便利な敵役に使われてきたのが一部のメディアだ。権力に目の敵にされるのは、不愉快だけれどある意味名誉なこと。寵愛(ちょうあい)されるよりよほど胸を張れる。

 とはいえ「身内」が犯した真正の罪への説明責任を、いまだ果たしておられぬ前首相である。「桜を見る会」前夜祭をめぐる公設第1秘書(当時)の政治資金規正法違反についてホテルの明細書を示す。公職選挙法違反の河井案里氏陣営に自民党が破格の1億5千万円を出した経緯と使途について、当時の党総裁として説明する。それら最低限の責任を放棄したまま放言している前首相は、この国の民主主義にとって「極めて○○な○○と言える」――さて、○に何を入れるべきか。ご意見募集します。

 なにより今回、批判の口火を…

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