コロナ禍で木曽川鵜飼スタート 「伝統を守りたい」

荻野好弘
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 1300年の歴史をうたう「木曽川鵜飼(うかい)」が1日昼、愛知県犬山市岐阜県各務原市の境を流れる木曽川で開幕した。両市の主催。コロナ禍で一般の見物客は少なかったが、「鵜飼いの灯を守ろう」と延期せず、本来の開幕日でスタートした。

 木曽川鵜飼い岐阜市長良川鵜飼などと違って昼間にもあり、鵜匠の手縄(たなわ)さばきが見やすいのが特徴だ。初日の昼鵜飼いは、稲山琴美鵜匠(32)と水野敦鵜匠(44)が鵜舟に乗り込み、それぞれ10羽のウミウを操った。

 観覧用の屋形船に乗った有料の一般客は4人のみ。愛知県清須市から訪れた30代の夫婦は「美しい光景で伝統を感じた。鵜の表情も見られた」と話した。産休と育休を経て3年ぶりに復帰した稲山さんは「お客さんの人数を聞くと寂しくなるが、先輩と一緒に鵜飼いを盛り上げたい」と笑顔で意気込みを語った。

 木曽川鵜飼は例年6月1日~10月15日。昨年は新型コロナウイルスの感染が広がるなか、6月19日に開幕を延期。夏場の長雨も加わり、シーズン中に昼夜合わせて117回しか実施できず、観覧者数は記録が残る1966年以降で最少の3079人にとどまった。

 今季は愛知県緊急事態宣言岐阜県でまん延防止等重点措置が延長されるなかで迎えたが、観覧船の定員を半数に抑えたり、キャッシュレス決済を導入したりして開幕した。観覧船は、6月中は食事無しのコースのみで運航する。心機一転を図ろうと、2002年から使ってきた「木曽川うかい」の名称を、今季から「木曽川鵜飼」に変更した。

 平年なら6月の乗船客は約5千人いるが、今月の予約は1日時点で133人しかいないという。夜の鵜飼いは客がいなくても技術継承や船頭育成のために極力、実施するという。観覧船を運航する木曽川観光の梅村治男支配人(69)は「観光の牽引(けんいん)役としても鵜飼いの灯を消したくない」と話した。(荻野好弘)