「十倉経団連」船出 初の女性副会長も 初日に緊急提言

専門記者・木村裕明 久保智
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経団連の十倉雅和新会長(中央)と新任副会長6人。左端が南場智子ディー・エヌ・エー(DeNA)会長=東京・大手町
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 経団連は1日の定時総会で、新会長に十倉雅和・住友化学会長(70)を選び、新体制が発足した。十倉氏は総会のあいさつで「社会や経済と政治が密接不可分な現代にあっては、経済安全保障の確保について、企業の実情を踏まえながら政府と緊密に連携して進めることが肝要」などと述べ、重要な政策課題に政府と協調して取り組む姿勢を示した。

 総会には菅義偉首相がビデオメッセージを寄せた。成長戦略の二本柱に掲げるデジタルとグリーンについて、「9月に発足するデジタル庁が司令塔となって、官民のデジタル化を強力に推進する」「脱炭素化は待ったなしの課題。気候変動への対応は経済の制約ではなく、むしろ日本を力強く成長させる原動力となる」などとあいさつし、経済界の協力を呼びかけた。

 十倉新体制は定時総会後の理事会で、新型コロナワクチン接種に関する政府への緊急提言を決議した。社会経済活動を早期に正常化させるため、今冬が来る前に国民の7~8割の接種を終える明確なゴールを設定し、集団免疫の獲得に向けた接種体制を確立するよう提言。十倉氏は記者会見で「非常に厳しい目標だが、ぜひ達成して頂きたい」と求めた。政府から要請されている職域接種の実施や接種会場の提供などで、会員企業が協力していく方針も打ち出した。

 十倉新体制を支える副会長は19人。この日の総会で柵山正樹・三菱電機会長、東原敏昭・日立製作所会長兼社長、橋本英二・日本製鉄社長、津賀一宏パナソニック社長、南場智子・ディー・エヌ・エー(DeNA)会長、久保田政一事務総長の6人が新任された。岩田圭一・住友化学社長は十倉氏の会長就任を受け、内定していた副会長就任を辞退した。(専門記者・木村裕明)

南場氏「何をするかが重要」、抱負も

 女性で初めて経団連副会長に就いたIT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)会長の南場智子氏は会見で、「女性ということで(副会長を)拝命したとは認識している。しっかりと責任を果たし、後輩の道を閉ざさないように頑張りたいとは思う」としつつ、「どういうラベルが貼られるかより、何をするかが重要だ」と述べた。経団連では数少ないIT企業の出身で、主な会員企業より若い会社の創業社長という経歴を生かし、「ユニークな視点で貢献できると考えている」。

 南場氏は、ベンチャー企業の振興を議論するスタートアップ委員会の委員長も務める。「日本のスタートアップ企業は増えているが、世界で大勝する企業が出てこないのが課題。自分の反省も含めて、大きな問題意識を持っている」。世界で競えるベンチャー企業の育成や起業家支援に取り組み、「5年ぐらいで、ユニコーン(評価額10億ドル以上の有望な未上場企業)の数を今の10倍にしていきたい」と抱負を述べた。(久保智)

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記者会見する南場智子・経団連副会長=東京・大手町