京阪京津線800系が持つ三つの顔 新幹線並み高級電車
「まだまだ勝手に関西遺産」
大津と京都を結ぶ京阪京津(けいしん)線800系電車。緑と白の塗色をまとった小さめの車両は、なんの変哲もない通勤電車に見える。ところが、京都方面から乗れば地下鉄、しかし大津方面からだと路面電車。そして、その間は逢坂山を越える登山電車と、三つの顔を持つ。小さな車体に、めいっぱいの機能を盛り込んだ唯一無二の存在だ。
大津側の始発は、びわ湖浜大津駅(大津市)。全ての京都方面への列車が4両編成の800系で運転される。両端の車両は窓を横に見て着席する、特急列車のようなクロスシート。中間2両は窓を背にして座る、地下鉄などと同じロングシートだ。観光にも通勤にも配慮されている。
始発駅を出た列車は左に急カーブを切り、道路の真ん中へ。全長66メートルにもなる電車が車とともに走るのは、全国でもここでしか見られない。信号に従いながら、堂々ゆったりと走る。平日の夕方、乗客の大半は通勤や通学客。クロスシートでは座席にもたれ、目を閉じて休んでいる人が目立つ。ロングシートでは学生たちが話に花を咲かせていた。
次の上栄町(かみさかえまち)駅(同)の手前から、鉄道専用の線路に入る。右に左に曲がりながら、坂をぐんぐん登る。逢坂山トンネルを抜けると一転して下り坂。京阪山科駅(京都市山科区)を過ぎると地下にもぐり御陵(みささぎ)駅(同)へ。京津線はここまで。この先は京都市営地下鉄東西線に乗り入れ、太秦(うずまさ)天神川駅(京都市右京区)まで加減速はボタン一押し、自動運転で走りぬける。
京津線はもともと京阪本線と…
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