新型コロナウイルスワクチンの高齢者接種を加速させるため、埼玉県が独自に開設した「県高齢者ワクチン接種センター」で1日、集団接種が始まった。会場の県浦和合同庁舎(さいたま市浦和区)で午前9時から始まり、大きな混乱もなく予定した500人中499人が接種した。接種を終えた高齢者は安心した表情で会場を後にしていた。
ワクチン接種は基本、市町村が担うが、接種効率を上げるため、県がこれを補完する機能として同センターを立ち上げ、集団接種会場を設けた。
接種した一人、三郷市の中村佳保さん(67)は、市のインターネットや電話による予約を試みたがかなわず、同センターで接種しようと切り替えた。予約開始日の5月25日に予約が取れたという。「ワクチン接種が終わって感染が収まれば、温泉旅行に行きたい」
新座市の竹村茂章さん(69)と妻の美保さん(68)は夫妻で接種を終えた。市内や、東京・大手町に政府が設けた会場での接種を検討したが、予約開始が早かった同センターで接種しようと予約を入れた。竹村さんは「混むかと思っていたが、整然と接種ができた。ちょうど1カ月後に(2回目のワクチンを)打つというのもわかりやすくてありがたい。家族で同じ時間で受けられるとなおよいと思う」と話していた。
会場では問診スペースや四つの接種ブースを設け、医師6人と看護師10人のほか、職員ら約30人が応対した。接種後の15分以上の待機時間を含め、1人30分程度で終わった。初日は急なキャンセルが2人分出たため、1人分はキャンセル待ちの高齢者が接種した。また、通常の接種時に誤って針が外れてワクチン液が漏れたため、1人分が使えなかった。
県によると、6月15日までの予約枠はキャンセル待ちを含めて埋まっているという。同16~30日の予約は9日午後1時から県の予約専用サイトで受け付ける。(川野由起)
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埼玉県の集団接種会場では、オンラインの手話通訳サービス「みえる通訳」を使い、接種に訪れた聴覚障害者が困らないようにサポートする。タブレットでテレビ電話をつなげば、看護師や医師とのやりとりを通訳者が手話で通訳してくれる。タブレットを2台用意している。
日本語が話せない人のために、英語や中国語など13カ国語に対応できるようにもしている。県やサービスを提供するIT企業「テリロジーサービスウェア」(東京都)によると、県内では川口市や所沢市などでも同様のサービスを行っているという。
県の担当者は「視覚障害のある方や車いすの方でも職員が付き添うようにしている。心配せずに来てほしい」と話している。(贄川俊)
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