トビイロウンカ被害 対策へ本腰 LINEで発生状況

高橋豪
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 昨年、山口県内で大量発生し大きな被害を及ぼしたコメの害虫「トビイロウンカ」の飛来時期が近づいている。被害を繰り返さないよう、県やJA山口県は早期発見のため対策を見直し、SNSを活用した情報発信に取り組むなど体制を強化している。

 「今年の田植えは順調に終わった。でも、この先どうなるかはわからない」

 田植えが終わったばかりの水田を前に、山口市宮野上のコメ農家、津田寿昭さん(79)がつぶやいた。約1・3ヘクタールの水田でひとめぼれやヒノヒカリなどを栽培する専業農家。この水田も昨年はトビイロウンカの被害を受けた。

 「日を追うごとに、水田は見る見る茶色になっていった。あれほどひどいことはなかった」と津田さん。例年約480キロ(8俵)だった収量は、6割ほどの300キロ(5俵)にとどまった。9月終わりの晩生(おくて)種は全く収穫できなかった。

 農林水産省中国四国農政局山口県拠点によると、昨年の県内のコメの作況指数は73(不良)。全都道府県で最も低い値となり、県内では比較できるデータが残る1958年以来最悪となった。

 津田さんは今年、田植え時に使う農薬を見直した。効き目が長いものに変え、昨年大量発生した盆の時期まで効果が持つようにした。「トビイロウンカはすぐ増える。対策がとれるよう、より早く情報がほしい」と話した。

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 山口県農林総合技術センター(山口市)では5月31日、生産者にアドバイスする県農林水産事務所とJA山口県の職員らを招き、県が防除対策研修会を開いた。

 センターによると、昨年は平年より2週間早い6月26日に初飛来を確認。数が多かったことに加え、梅雨が長引いたために防除に適した時期に対策がとれず、被害を抑えられなかったと説明した。センターの就農・技術支援室の担当者は、トビイロウンカの飛来を防ぐことは不可能で、飛来の早期確認と情報共有、予防措置が必要だと話した。

 対策の一つとして、JA山口県が中心となって今年度から、無料通信アプリ「LINE」を使って生産者への情報発信を始めた。トビイロウンカの発生や調査の状況、有効な農薬などの情報を共有する。

 飛来状況の把握を早めて初期対処につなげるため、県やJA山口県は県内86カ所で月2回実施していた調査に加え、出穂期まで複数の水田で月3回調査を実施する。発生量が多い場合、穂が出る25日前をめどに農薬を追加散布することを生産者に求める。(高橋豪)

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 毎年梅雨の時期、ベトナム北部や中国南部から風に乗って日本に飛来するコメの代表的な害虫。成虫は4~5ミリで、収穫期にかけて繁殖する。イネの茎から水分を吸い取り、水田が円形状に枯れる「坪枯れ」を引き起こす。昨年の県内のコメの作付面積1万8900ヘクタールに対し、半分以上の1万700ヘクタールがトビイロウンカなどのウンカ類による被害を受けた。