天安門事件記念館が閉鎖 香港、当局が締め付け強化か
香港=奥寺淳
香港で民主派団体が5月30日にリニューアルオープンしたばかりの天安門事件の記念館が2日、当局の指導で閉館した。「公衆娯楽場所」の許可証がないとの理由だが、中国ではタブーの事実を展示する内容のため、事件から32年となる4日を前に当局が締め付けを強めたとみられる。
閉館したのは、中国の民主化を訴えた学生らが軍に武力弾圧された天安門事件(1989年6月4日)の写真などを展示する「六四記念館」。香港で犠牲者を追悼する集会を毎年開いてきた「香港市民支援愛国民主運動連合会」(支連会)が2014年に開館。4月から展示内容入れ替えのため休館した後、先月末に再オープンしたばかりだった。3日間で約550人が観覧や献花に訪れていたという。
支連会によると、開館以来、「公衆娯楽場所」の許可がないとの指摘を受けたことはなかった。今年は昨年に続き、警察が新型コロナウイルス感染防止を理由に、4日のビクトリア公園での天安門事件追悼集会の開催を禁止しており、支連会は記念館での献花などを呼びかけていた。これに対し、「公衆娯楽場所」を管轄する食物環境衛生署や警察が調査していたという。(香港=奥寺淳)
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