第12回「産業のコメ」しのぐ価値の半導体 20年見通す戦略を

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聞き手=福田直之、編集委員・吉岡桂子
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 日本政府が再び半導体振興策に力を入れようとしている。半導体製造装置大手、東京エレクトロン前社長で、政府への政策提言を話し合う経済産業省の「半導体・デジタル産業戦略検討会議」で座長を務めた東哲郎氏(71)に政策の基本的な考え方について聞いた。

写真・図版
東哲郎・東京エレクトロン前社長。経済産業省の半導体・デジタル産業戦略検討会議で座長を務めた=2021年5月25日、東京都、吉岡桂子撮影

3つのポイント

(1)半導体産業はデジタル化で社会生活すべてに関連する重要産業になっており、国が支援して振興する必要がある(2)過去の支援には失敗もあったが、今回は関連業界や国、政治の危機感が違う(3)20年の長期を見据え、課題と目標を設定するべきだ

 ――経産省は今年3~5月、3回にわたって半導体・デジタル産業戦略検討会議を開催しました。どのような会議だったのでしょうか。

 「産業界と経産省で話し合い、半導体とデジタル政策の進め方や強化点を政府に提言する狙いで行った。この10~20年、半導体産業やデジタル産業、社会インフラも世界的には伸びてきたが、その中で日本の立ち位置が他国に比べて弱くなってきた。特に半導体は『産業のコメ』と言われるが、DX(デジタルトランスフォーメーション)のなかで『コメ』を超えて、社会生活すべてに関係する重要産業になっている。だから、半導体が弱くなれば、日本の経済そのものが弱くなって、だめになってしまうという危機感がある」

 「また、僕らが若い頃、20年ぐらい前までは国と経済はある程度分離しており、自由主義経済にもとづく市場経済メカニズムに従って、国の違いはあれどもビジネスは展開されていた。半導体産業もその上で伸びてきたが、国と経済が切っても切れない関係になってきて、ナショナリズム的なイメージが非常に強くなっている。そういうような状況の中で、日本としても国として半導体やデジタル産業を強化しなくてはならなくなった。一方で、国を超えた地球レベルでグリーン化、SDGs(持続可能な開発目標)を推進していく必要もある。特にデジタル産業の地球に対する負荷はきわめて大きく、想像を絶するほどのコストになるだろうという危機感の中で、今年から国として半導体とデジタル産業を強化することを目指そうと検討した」

 ――日本の半導体生産技術は…

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