第1回徹夜明け、炎天下で「歌コンパ」 万葉集に思いはせる

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――いにしへにありけむ人もわが如(ごと)か 三輪の檜原(ひばら)に插頭(かざし)折りけむ

(三輪山のふもとの林で、私はヒノキの枝を折って髪飾りにする。昔の人もそうしたんだろうか)

 例年より早く春の花が野を彩り始めた3月7日、奈良県桜井市の山の辺の道。馬場吉久(ばばよしひさ、70)が、柿本人麿(かきのもとのひとまろ)作とみられる万葉歌を、独特の節をつけて高らかに朗唱する。大阪大名誉教授・犬養孝(いぬかいたかし、1907―98)直伝の「犬養節」だ。

 「もうすぐ桧原神社、このあたりは今もヒノキばかりですね。葉っぱが平たいから、とんがってる葉っぱのスギと区別できます」。ピンクの穂が出た川楊(かわやなぎ)、小さな花が連なる馬酔木(あしび)。万葉集に詠まれた植物を、馬場が歌と一緒に解説する。犬養万葉記念館(同県明日香村)が開く「早春の野外万葉植物講座」。約30人が耳を傾けた。

 馬場は70年、大阪大理学部に入学した。入学式後の名誉教授の講演会で、犬養が「石(いは)ばしる たるみの上のさわらびの……」と歌い上げたのにびっくりして、5月に山の辺の道で開かれた「大阪大学万葉旅行」に参加した。卒業生や他大学の学生も含めて400人近い長蛇の列。万葉の舞台を歌いながら歩き、古代人の心に思いをはせるスタイルに魅せられた。万葉集に登場する路傍の植物についての犬養の解説を聞き、写真を撮りながら観察していくうち、「馬場君、あれは何という植物?と犬養先生が聞いてくれるほどになりました」という。

万葉集のルーツをたどる旅は、奈良から。ベテラン記者が5回にわたって訪ね歩きます。

「万葉のぢかの心を追体験」

 阪大万葉旅行の第1回は、5…

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