大阪 大阪市長への提言書めぐり「校長処分しないで」 

宮崎亮
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 緊急事態宣言中の大阪市立小中学校の学習を「オンラインが基本」とした松井一郎市長らに市立小学校長が実名で提言書を送ったことを巡り、弁護士などの団体が2日、校長を懲戒処分しないことなどを求める要請書を出した。

 5月17日に提言書を送ったのは市立木川南(きかわみなみ)小学校(淀川区)の久保敬校長。6月2日、自由法曹団大阪支部と民主法律協会の2団体は、山本晋次・市教育長宛ての要請書で、松井市長が報道陣に「決めたことをやらないというなら処分の対象」「ルールに従えないなら、組織を出るべきだと思う」などと述べたことを挙げ、久保校長を処分しないよう要求。自由法曹団は要請書で「市教委は、松井市長の発言に左右されることなく、独立して、教育行政を公正かつ適正に行うべきである」と求めた。2団体は久保校長と関わりはないという。

 これに対して松井市長は2日、報道陣の取材に「校長の文章に対して、一般的に違うというところについては否定しただけで、彼を処分するなんて一言も言っておりません」と話した。

 自由法曹団の「市長には学校教育に関し、職務命令を出す権限はなく、ましてや処分権限もない」「教育に対する不当な政治的介入」との批判については「職務命令を出した覚えはない。権限は教育委員会にあるとはっきり言っている」と反論。(大阪府・市の)教育基本条例を挙げ、「教育現場の方向性は首長と教育委員が協議をして定める。一人の校長が意見が違うからと『僕は決まったことに従いません』というのは、公務員として職務専念義務違反になる」と述べた。

 一方で市教委の担当者は取材に、提言書がSNS上で広まっていることについて、市職員基本条例4条の「職務や地位を私的利益のために用いてはならず」に反するかどうかを確認する、と話している。

 久保校長は提言書で、宣言中の市立小中学校の学習を「オンラインが基本」とした松井市長の判断を「子どもの安全・安心も学ぶ権利もどちらも保障されない状況をつくり出している」などと批判。全国学力調査や教員評価制度などにも触れ、子どもが過度な競争に晒(さら)され、教師は疲弊しているなどと訴えていた。

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久保校長への賛同署名2800筆

 元大阪市立小学校教諭2人が2日、久保校長の提言書に賛同する署名2779筆(うち実名2777筆)を、松井市長と山本教育長宛てに郵送した。署名したのは元教員、保護者や教育関係者ら。現役の市立小学校教員もおり、関東や九州など府外の人もいるという。呼びかけ人の元教諭によると、署名は5月18~31日、メールなどで集めた。宮崎亮