英国のTPP加盟 交渉入り決定 関税撤廃が焦点

新宅あゆみ
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 環太平洋経済連携協定(TPP)の加盟11カ国は2日、閣僚級のTPP委員会を開き、英国の加盟交渉に入ることで合意した。発足時の加盟国以外の加盟交渉入りは初めて。今後は、農産物や工業品の関税などについて交渉が始まる。英国がいまの加盟国並みの高水準の関税撤廃を打ち出せるかが焦点となりそうだ。

 オンライン形式で開かれた委員会には加盟11カ国の閣僚らが参加し、英国との加盟交渉入りを全会一致で決めた。議長国の日本から出席した西村康稔経済再生相は「重要な貿易投資相手国の英国がTPPに加わることとなれば、自由で公正な経済秩序を構築していくとともに、日英の経済関係の強化にも大きな意義がある」と歓迎した。

 TPPは、豪州メキシコシンガポールなどアジア太平洋地域の11カ国で、域内の関税を撤廃したり、投資などの共通ルールを設けたりした協定で、2018年末に発効した。英国が加盟すれば、加盟国全体の人口は計5億7千万人になる。域内の国内総生産(GDP)は計14兆ドルで、欧州連合(EU)の15兆ドルに匹敵する規模となり、世界全体に占める割合は13%から16%に増える。

 今後は交渉のための作業部会を設置。部会の初会合から30日以内に英国は物品の関税率をどれくらい下げるかなどを示し、交渉が本格化する。交渉には1年以上かかるとの見方もある。いまの加盟国が将来に撤廃する分も含めた関税撤廃率は95~100%。まずは、これと同等の撤廃率を英国が示せるかどうかが注目される。

 日英間ではすでに、経済連携協定(EPA)が発効している。だが、その時のEPA交渉では、英国がチーズなどでEU時代の協定より関税を引き下げるよう要求。実現をあきらめた経緯があり、日本政府内には「英国は今回、農産物の関税をさらに下げるよう求める可能性がある」と警戒する声もある。西村氏は「日本として守るべきは守りつつ攻めるべきは攻め、国益にとって最善のものとなるよう交渉していきたい」と話した。

 英国は現在、TPP参加国のうち、豪州ニュージーランドとは個別にEPAの交渉中。カナダメキシコとも交渉入りを決めており、これらの国とはTPPと並行して交渉をすることになる。(新宅あゆみ)