野馬追の地、南相馬で「うまさんぽ」いかが 移住者発案

佐々木達也
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 市街地で「うまさんぽ」はいかが――。1千年余の伝統を誇る祭り「相馬野馬追(のまおい)」の地、福島県南相馬市小高区で、馬に乗って観光する取り組みを、東日本大震災後に東京から移住した若者が始めた。「馬への興味や、馬が好きな人を増やしたい」と意気込む。

 考案したのは東京・新宿出身の神瑛一郎(じん・よういちろう)さん(26)。2019年12月、「市地域おこし協力隊」のメンバーになり、移住した。乗馬歴は小学6年から。障害馬術競技に夢中になり、中学生のころには全国大会で優勝したこともあった。

 協力隊員として接した観光客から話が出るのが、馬のこと。相馬野馬追を知っていて訪れるからだ。神さん自身、震災前に相馬野馬追を見たことがある。言葉で説明はするが、「ちょっと寂しい」と感じることがあった。市内に通年で楽しめる観光コンテンツがないことにも気づいた。

 「観光客が興味を持てる、馬にまつわるサービスができないか」。思いついたのが乗馬体験だった。一般社団法人「ホースバリュー」を立ち上げ、5月末から事業を始めた。

 サービスは二つ。一つは「小高うまさんぽ」。市街地と、相馬野馬追の祭礼がある小高神社を往復する。もう一つは森や海岸を散策する「トレッキング」。原町区の市馬事公苑森林部と、相馬野馬追への出場者が練習をする鹿島区の烏崎(からすざき)海岸を楽しむことができる。

 ともに神さんらが馬の手綱(たづな)を引き、未経験者でも馬上からの眺めを楽しめる。

 乗馬には、神さんが飼育する「ワタリセイユウ(愛称・ワタリン)」と、協力者の馬を使う。ワタリンは地方競馬で活躍した8歳のサラブレッドで、のんびりしていておとなしいという。

 観光客を楽しませるだけではなく、地元住民にもワタリンを可愛がってほしいと考えている。馬房で餌をあげたり、触ったりすることができる。

 小高区は震災の原発事故で避難指示区域となり、全住民が避難を強いられた。16年7月に大部分が解除されたが、震災前に約1万3千人だった住民は、いまだ約3800人にとどまる。神さんは「ワタリンが地域のアイドルになり、人と馬が身近になれる街ができたらいい」と話す。

 「小高うまさんぽ」は往復2・6キロで30分。大人4400円。「トレッキング」は1回1時間(説明時間含む)で、烏崎海岸が大人1万5千円、馬事公苑が1万1千円。問い合わせは「ホースバリュー」(050・7107・3874)。予約はホームページから。(佐々木達也)