県議を辞職し教育委員への人事案、福岡県が異例の撤回

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神野勇人
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 福岡県の服部誠太郎知事は2日、6月定例県議会で県教育委員に元自民党県議を任命する人事案を取り下げた。県議在職中に委員就任の意欲を県側に伝え、5月の辞職直後に内定したことに「政治的中立性を脅かす」との批判があり、元県議が辞退を申し出た。県が県議会に説明した人事案を議会の開会直前に撤回するのは異例。

 服部氏は5月28日、自民党県議団に所属し、同月14日に辞職した塩川秀敏元県議(72)を教育委員に任命する人事案を県議会側に説明した。その後の記者会見で「学校現場と行政の架け橋として取り組んできた。教育委員会の活性化や教育行政の充実に大いに寄与して頂ける」と任命の理由を語った。

 服部氏らの説明によると、塩川氏は県議在職中の5月上旬、吉田法稔(のりとし)教育長に「職を辞してその方向に行きたい」と教育委員への意欲を伝えた。吉田氏は「経歴や教育の見識が素晴らしい上、強い情熱もある」として、元高校教諭だった塩川氏の委員任命を服部氏に推薦した。塩川氏が県議を辞職した約1週間後、本人に「内定」が伝えられた。

 教育委員会は知事から独立した行政委員会で、知事が議会の同意を得て委員を任命する。教育の政治的な中立性を守るため、議員との兼職は禁じられ、委員の党派的な偏りも制限されており、現職県議の意向を受けた教育委員の任命人事案には、県教職員組合内などで政治的中立性に対する疑問の声が広がっていた。教育委員会制度に詳しい横浜市立大の高橋寛人教授は「政党から支援を受けてきた、辞職直後の議員は『政治的に中立』とは言えない。中立性の確保は教育委員会制度の重要な目的の一つであり、法律の趣旨に反している」と指摘する。

 こうした批判を踏まえ、塩川…

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