イスラエル、12年ぶり政権交代へ 米国とのあつれきは

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エルサレム=清宮涼、ワシントン=高野遼
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 イスラエルで歴代最長となる連続12年間、通算15年にわたって首相を務めるベンヤミン・ネタニヤフ氏(71)が退陣の瀬戸際に追い込まれている。在任中にはイスラエルの右傾化が進み、パレスチナとの和平交渉は遠のいた。新政権が成立しても、パレスチナへの強硬姿勢を訴える右派が存在感を示しそうだ。(エルサレム=清宮涼、ワシントン=高野遼)

 イスラエル政界はネタニヤフ氏への支持をめぐって分裂している。保守層を中心に固い支持を集めてきたが、昨年1月には汚職事件で起訴され、長期政権への批判も高まっていた。与党からも離反が相次いだ。

 3月の総選挙(定数120)ではネタニヤフ氏率いる右派「リクード」が第1党となったが、連立交渉に失敗。第2党の中道「イエシュ・アティド」のラピド党首が連立に向けて交渉中で、期限の2日までに反ネタニヤフ勢力による連立政権に合意する見通しが高まっている。

 イスラエルの総選挙は比例代表制のため少数政党が乱立し、これまで単独過半数を得た政党はない。

現政権、イスラエル史上で最も右寄り

 1996~99年に首相を務めたネタニヤフ氏は、2009年に政権に返り咲いた。パレスチナに強硬な極右政党や宗教政党などと連立を組み、イスラエル史上で最も右寄りの政権とされてきた。

 ネタニヤフ政権で進んだのが、占領下のパレスチナ自治区ユダヤ人を移住させる入植活動だ。国連安全保障理事会国際法違反と指摘しているが、政権は入植者らを支持基盤とし、入植地の拡大を続けてきた。

 パレスチナへの強硬姿勢を取ったことで、和平交渉は遠のいた。米オバマ政権の仲介で10、13年に直接交渉を再開したが、いずれも頓挫。ガザ地区との武力衝突も相次いだ。14年にはイスラエル軍の進攻で2千人以上が死亡。今年5月にはガザ地区からのロケット弾への報復措置として空爆し、250人以上が死亡した。ネタニヤフ氏にとっては強硬姿勢を示し保守層をつなぎとめる狙いもあった。

 外交もネタニヤフ氏の強みの一つだった。特に大きな「成果」を出したのは米国のトランプ前政権時代だ。トランプ氏とは「盟友関係」を築き、米国から歴史的な政策転換を次々と引き出した。

 トランプ政権は17年にエルサレムイスラエルの「首都」と認め、翌年、大使館を移転。米国の仲介で、アラブ首長国連邦(UAE)などアラブ諸国との国交正常化も実現した。

 だが今年1月にバイデン政権となり、蜜月時代は終わりを告げた。バイデン氏は米イスラエルの歴史的な同盟関係は重視しつつ、過度な肩入れはしない姿勢をとる。対イラン政策などで意見の違いもあり、最近はネタニヤフ氏が外交面でアピール材料に乏しくなっていたことは否めない。

次の首相は現職以上に右派

 反ネタニヤフ勢力の連立が実…

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