原発避難、届かぬ苦しみ「賠償額ほど遠い」 判決に落胆

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緑川夏生、里見稔、友永翔大
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 原発避難者をめぐる2日の新潟地裁判決は国の責任を認めなかったが、避難指示区域外からの自主避難の合理性を認めた。ただ、賠償額は低額にとどまり、原告からは落胆と憤りの声があがった。弁護団は「避難生活の苦しみが正当に評価されていない」と控訴する姿勢を示している。

 「8年かけてきて、この判決は非常に残念」。判決後、原告弁護団は会見で肩を落とした。

 避難者が国や東電を相手取った裁判は全国で約30件あるが、新潟の原告数801人は福島県を除くと全国で最も多い。裁判では全237世帯の陳述書を提出し、複合的な被害の実態を立証しようと試みた。「裁判の最大の眼目は、避難生活の苦しみを裁判所に評価してもらうこと」。弁護団事務局長の近藤明彦弁護士はそう語っていた。

 判決は自主避難の合理性を認めたが、賠償額は「求めていた請求額からはほど遠い金額」となった。請求額1100万円に対し、636人に認定された賠償額の多くは大人23万1千円、子ども28万6千円だった。また、避難指示区域などから避難した165人の請求はすでに支払い済みとして棄却された。

 弁護士の一人は「既に支払った交通費などの実費も慰謝料に含まれる」との東電の主張を退けた点を評価する一方、賠償額について「放射能汚染によって避難を強いられたという因果関係を認めた金額になっていない」と批判した。

 福島市から新潟県内に3人の子どもと避難した40代の女性は裁判官に思いをわかってほしいと、可能な限り裁判を傍聴してきた。それだけに「国の責任が認められなかったことはとても残念」。福島県郡山市から新潟市に小学生の娘2人を連れて避難した磯貝潤子さん(47)は「お金なんかいらないから国の責任を認めてほしかった。原発推進の政策が続くのが怖い」と語った。(緑川夏生、里見稔、友永翔大)

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 東京電力は判決を受け、「原発事故により、福島県民の皆さまをはじめ、広く社会の皆さまに大変なご迷惑とご心配をお掛けしていることについて、心からおわび申し上げます。判決内容を精査し、対応を検討してまいります」とのコメントを出した。

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 国と東電はまずは謝罪をしてほしい。福島県郡山市から自主避難した菅野正志さん(46)は、原発事故で奪われた当たり前の生活を償うよう訴えた。

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