太陽光発電の建設に「待った」 規制条例が全国で急増

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加茂謙吾
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 太陽光発電所の建設を規制する条例を設ける自治体が増えている。地方自治研究機構の調べでは4月1日時点で146市町村に上り、2年あまりで2倍以上に。脱炭素化社会の実現には欠かせない再生可能エネルギーの柱のはずだが、なぜ「足かせ」をかけるのだろうか。加茂謙吾

 山地と丘陵に囲まれた奈良県平群町。約21ヘクタールの山林を切り開いて約5万枚の太陽光パネルを設置する工事が進む。出力約23メガワットの大型の太陽光発電所(メガソーラー)だ。しかし、この計画について住民団体が「森林伐採で土砂災害の危険性が高まる」などとして2年ほど前から反対運動を展開。今年3月には工事の差し止めを求めて980人が奈良地裁に提訴した。

 町によると、事業者とは近隣住民への説明会や災害対策を求める協定を結び、必要な手続きを進めているという。しかし、住民側は開発の許可の前提となるデータ調査が十分でないなどと訴えている。朝日新聞は事業者側に取材を申し込んだが、回答はなかった。

 町には太陽光発電所を制限する条例がなく、法律に基づいた指導は行えない。担当者は「必要な手続きを満たした事業者を拒むことはできないし、工事を止める権限もない」と静観する立場だ。これに対し、住民団体代表の多田恵一さん(78)は「行政が動かないなら司法に訴えるしかない」と話す。

 発電規模が大きいメガソーラーをはじめ、太陽光発電をめぐるトラブルは他の地域でも起きている。近年多発する自然災害で、太陽光パネルが強風に吹き飛ばされたり、発電施設がある斜面が豪雨で崩落したりする事例が相次ぎ、二次災害や環境破壊を懸念する声は根強い。

 こうした中、トラブルを未然に防止しようと、条例制定を急ぐ自治体が増えている。地方自治研究機構によると、自治体側への届け出や同意、許可といった手続きや制限区域などを定めた規制条例(立地の促進のみを規定する条例などは除く)は4月1日時点で146市町村と兵庫、和歌山、岡山の3県の計149条例ある。年間の導入件数は14年は2件だったが、17年は19件、19年は43件と増加傾向にある。

 なかには禁止や罰金を取るな…

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