議会審議に「政策サイクル」 甲府市議会が条例案

吉沢龍彦
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 【山梨】市町村議会は有権者にとって一番身近な政治の舞台なのに、日々の活動が見えにくい。「何をやっているか分からない」と指摘されることもある。甲府市議会はそんな状況を改め、政策論議の活性化を図ろうと「議会基本条例」案をまとめた。議員らが市民の意見も聴いて一から練り上げ、6月議会での制定を目指している。

 条例案は7章、全22条からなる。「市民に開かれた議会」や「政策立案能力の強化」を目指し、議員間の自由な討議を尊重することをうたった。

 正副議長の選出は立候補制とする。議会への市民の参加を促し、直接対話の場を設けると明記した。議会事務局を「議会局」として機能を高め、議会に提案もできるようにした。

 特徴的なのは「議会政策サイクル」を定めた第16条だ。市長提出の議案を審議する時は、総合計画に照らし合わせて効果を検証し、市長に意見したり提言したりする。これを「循環して取り組むことにより、政策サイクルとして市政の執行に寄与する」と規定した。

 サイクルを回すために決算審査を重視し、翌年度の予算編成に生かすことを明記している。常任委員会として政策に関する見解をまとめ、本会議で市長に質問ができる規定も設けた。

 条例案は市議会のホームページで公表し、市民からの意見を6日まで受け付けている。

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 甲府市議会の基本条例づくりは、昨年7月に選出された兵藤顕司議長が議長選で公約に掲げ、動き出した。

 市議会は、市の政策をチェックする重要な役割を担う。兵藤議長は「市民からは『何の役に立っているのか』『単なる追認機関ではないか』と思われていた。議決機関として機能させるため、条例が必要だと考えた」と話す。

 条例案を作り上げる特別委員会は18回開催。委員らが班に分かれて意見を出し合うワークショップ形式で討議した。とりまとめ役の神山玄太副委員長は「先行条例のコピペ(丸写し)は絶対やめようと申し合わせた」と振り返る。

 議会基本条例は全国の900近い地方議会が制定しており、県内でも県議会など10以上の議会にある。甲府市議会は後発だが、踏み込んだ内容になった。

 助言役を務めた早稲田大学マニフェスト研究所のローカル・マネジャー長内紳悟さんは「事務方の議会局が議会に提案できるようにしたことや政策サイクルを明記した点は、全国を見渡しても最も進んでいる」と話す。

 輿石修委員長は「市民の意見をもとに討議して、市長に提案する仕組みを盛り込んだ。市議会が身近な存在になることを期待している」と話している。(吉沢龍彦)

甲府市議会基本条例案 主な内容

・第2条 市民に開かれた議会を目指し、市民参加の機会の拡充に努める。市民の多様な意見を踏まえた市政の調査研究を通じて、議会における政策立案能力の強化に努める。議員間の自由な討論を通じて論点及び争点を明らかにし、合意形成に努める。

・第8条 政策提案につなげるため、市民との直接対話の場を設ける。

・第9条 パブリックコメントを有効に活用するとともに、市民からの意見や政策提言を募集するなど、積極的に市民の意見の聴取に努める。

・第11条 市民からの請願・陳情を政策提言として受け止め、請願者や陳情者が説明機会を求める場合は、その機会を設けることができる。

・第13条 市長と対等で緊張ある関係を構築し、市長の事務の執行の監視及び評価を行う。

・第16条 市長提出議案の審議では、総合計画の目標に照らし合わせて効果を検証し、必要に応じて市長に意見し、政策を立案した場合は提言する。これらを循環して取り組み、政策サイクルとして市政の執行に寄与する。

・第17条 議長及び副議長の選出は、立候補制とし、公開の場で所信を表明する機会を設ける。

・第18条 常任委員会・特別委員会の委員は、進んで委員間の討議に関わる。決算を審査する委員会は翌年度予算編成に決算審査の結果を反映させるため、委員会の意見としてまとめる。常任委員会を代表する議員は、本会議で所管事項に関する質問をすることができる。

・第19条 議会局は、議長の管理に属する。議会のパートナーとして、議会に提案を行うことができる。