鶏卵汚職「政策ゆがめられず」 農水省第三者委が報告書

杉浦幹治
[PR]

 吉川貴盛・元農林水産相が鶏卵大手「アキタフーズ」の秋田善祺前代表から賄賂を受け取ったとして収賄罪在宅起訴された事件を受けて、同省が設けた第三者委員会(座長・井上宏元福岡高検検事長)は3日、前代表から吉川氏への働きかけの影響について、「政策がゆがめられた事実は認められなかった」とする報告書を公表した。

 吉川氏は2018年10月~19年9月の大臣在任中に、3回にわたり前代表から現金計500万円を受け取ったとして東京地検在宅起訴された。第三者委は、起訴内容で前代表から吉川氏への働きかけがあったと指摘された、家畜衛生の国際機関によるアニマルウェルフェア(動物福祉)の国際基準づくりや、日本政策金融公庫の養鶏業者への融資方針などについて、関係職員らへの聞き取りなどから政策の公正性への影響を検証した。

 秋田前代表の要望や働きかけは実際にあったものの、吉川氏から職員への指示などはなく、政策決定の公正性について問題点は認められなかったと結論付けた。また、省内の調査で発覚した吉川氏の誘いで事務次官ら省幹部が秋田前代表と同席した会食については、会食の場で前代表から政策への働きかけはなかったとした。

 一方、第三者委は、動物福祉の国際基準づくりに反対していた秋田前代表の息子を国際機関への対応を検討する協議会の臨時メンバーとして農水省が選んでいた点について、「十分な説明がされていない」と指摘。また、日本政策金融公庫の専務と秋田前代表との面会を農水省の金融調整課の担当者がセットしていたことにも言及し、「手厚い対応が取られ、不透明さが認められた」として省の対応に疑念を向けた。

 一連の調査で、養鶏・鶏卵行政に関わる政官業の距離が近く、生産者や政治家からの働きかけを行政が受けやすい構造が確認されたとも指摘。省幹部が利害関係者との会食について法令の理解を誤っていたことも判明したとして、省内の法令順守の意識、体制を再構築するよう提言した。杉浦幹治