インスタ映えよりじわじわ 12代目継ぐ京都庭師の思い

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聞き手・生田大介
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 創業250年余り。歴代当主が「小川治兵衞」の名を継ぎながら、伝統的な庭園をつくり続けてきた御庭植治(おんにわうえじ)(京都市)。その12代目となる予定なのが小川勝章さん(47)だ。庭園とはどんな風に楽しめばよいのか。実際に案内してもらいつつ尋ねた。

 ――平安神宮の神苑(しんえん)(京都市)を訪れています。どんなところに注目して拝観すればいいですか。

 「お庭には必ず、ここから見ると一番いいという『正面』があります。そこを探してください。例えばこの『西神苑』では、池の縁に平らな石があります。その上に立つと、庭の主役の(三つの石を組む)三尊石(さんぞんせき)がよく見えます。そのあとに、横や後ろなど色々なところから見てほしいです。例えば池の縁に沿って少し右へ歩くと、また平らな石があります。ここに立つと、正面からは見えなかった滝の姿が楽しめます」

 ――この神苑は、数々の名園を手がけた7代目小川治兵衞(1860~1933年)の代表作ですね。

 「当時は琵琶湖から水を引く『疎水(そすい)』がつくられた頃で、それを池に利用したのも特徴です。それまでは池があっても水は動かず、よどむこともありました。水が動くのを見ているだけでも美しいと感じます」

 「『中神苑』は池の水面に雲やマツの木が映り込んだ姿が美しい。水面をスクリーンにして、刻々と景色が変わる。そこに鴨川の橋脚を沢渡(さわたり)(飛び石)として配した『臥龍橋(がりゅうきょう)』がかかっています。雲や空の上を歩くような気持ちで渡ってください。いかに自然と近しくありたいかを考えてつくったのかが分かります」

 ――お薦めの庭の楽しみ方とは。

粋なお庭の楽しみ方や効率が求められる時代に大切にしているお庭づくりについて尋ねます。

 「サクラの花であれば、でき…

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