いじめ「起こって当然」 勝訴後に原告が学校に求めた事

編集委員・大久保真紀
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 千葉市の小学校で同級生からいじめを受けてPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症したとして、大学生の男性(19)が同級生の保護者と市に約1400万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が3日、東京高裁であった。白石史子裁判長は、一審が否定した学校側の責任も認め、同級生の保護者と市に388万円の賠償を命じた。

 男性は、小学5年時に同級生から殴りかかられるなどの暴力を振るわれたり、後ろの席から消しゴムや鉛筆などを投げつけるなどの嫌がらせを繰り返されたりしたとして、2016年に提訴。相談した担任の教師から「言いに来なくていい」などと言われ、適切な対応がなかったとして学校側の責任も主張した。

 この日の判決は、同級生によるいじめ行為を認めたうえで、教師に対しても、同級生にもっと強く指導することや、男性の訴えを真摯(しんし)に聞いて精神的に支えるなどの措置をとるべきだったのに怠ったと指摘。その結果、男性に精神的、肉体的苦痛を与えたとした。

 また、「男性は学級担任から守られず、クラスで孤立していると感じ、多大な精神的苦痛を受けた」と認定。被害によるPTSDの発症は認めなかったが、頭痛や睡眠障害、フラッシュバックなどの「PTSDに準ずる精神症状が継続している」とした。

 一審・千葉地裁は、同級生から3件の暴力行為があったことを認め、33万円の賠償を同級生の保護者に命じたものの、学校の責任は認めていなかった。

 男性はこの日の判決後、学校の責任が認められたことについて「意味のある判決。闘ってきたかいがあった」としたうえで、いじめについて次のように語った。「いじめはあってはならないものではなく、学校という子どもの成長の場では起こって当然。起こったいじめを教育へと帰結させ、子どもを成長に導くのが教職員の役割だ。大人がすべきことは隠蔽(いんぺい)や見てみぬふりではない。いじめを通して子どもを成長に導き、被害者と加害者を生み出さないことだ」

 原告弁護人の杉浦ひとみ弁護士も、「教師の責任を丁寧に認定し、それを違法と判断してくれた。また、PTSDに準じるとして精神的に大きな被害があったと認めたことも大きい」と判決を評価した。

 千葉市教育委員会の磯野和美教育長は「判決内容を検討した上で今後の対応を考える」とコメントした。(編集委員・大久保真紀