オタヤ開発 債務超過 百貨店撤退後に特別損失 富山

竹田和博、波多野陽
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 富山県第二の都市、高岡市の中心部にある商業ビル「御旅屋(おたや)セリオ」(高岡市御旅屋町)を運営し、市が出資する第三セクター「オタヤ開発」(藤田衛治社長)が約28億円の債務超過に陥っていたことがわかった。中核テナントの百貨店撤退でフロアなどの一部を売却し、特別損失を計上したためだ。ただ、市はその後融資を行い、国の方針に基づく経営健全化方針も策定。あくまで事業を継続させる構えだ。

 決算書や市の説明によると、同社は、セリオに入居していた百貨店の大和高岡店が2019年8月の閉店に伴い撤退した後、同12月、市土地開発公社に、ビルの土地とフロアの一部を約10億円で売却。その際の物件の再評価で、時価が簿価を大きく下回り、評価損が発生。19年度決算で特別損失を計上した。結果、負債(約44億円)が資産(約15億円)を上回り、28億5600万円の債務超過に陥った。また、賃料収入の減少に伴って収支も悪化。19年度には4200万円の経常赤字となり、20年度も赤字を見込んでいる。

 ただ、市は中心市街地に位置するセリオは、まちづくりを進める際の「極めて有用な資産」だとして、同社の事業継続は必要と判断した。同公社による買い取りに加えて、債務超過に陥った同社に、20年度にキャッシュフローの安定化のためとして4億6千万円の長期貸し付け(25年償還)も実施。市のホームページでも公表している経営健全化方針では、具体的な収支改善計画は示されていないが、積極的なテナント誘致による賃料収入の確保と経費削減を進め、債務超過を解消すると強調している。

 また、同社の負債については、大半が大和を債権者とする敷金・保証金だとし、市の担当者は「(債務超過は)重く受け止めるが、債務不履行にはなっていない。大和の理解を得ながら、返済を進めていく」と説明している。

 一方、市自体、18年度に約40億円の財源不足が生じるとして、同年度から5年間かけ、毎年8億円ずつ財源不足を解消する「財政健全化緊急プログラム」を行っている。市民会館を閉館させて運営補助金の減額を行うなど財政難にあえぐ市が、経営難の三セクに多額の税金を投入して支援する形になっている。

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 中核テナントの撤退で三セク運営の商業ビルが経営に行き詰まる事例は少なくない。北陸では、石川県七尾市のJR七尾駅前の商業施設「パトリア」が大手スーパー撤退を機に経営悪化。運営会社「七尾都市開発」が19年に破産した。その後、市は施設を約4千万円で取得して改修し、総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」の誘致に動いている。

 御旅屋セリオでは、高岡市土地開発公社に施設の土地とフロアの一部を買い取らせるなどして市が支援し、オタヤ開発が生き残る道を選んだ。同社が提案した「セリオタウン構想」の下、セリオに子育て支援など公的機能を持たせて、人の流れを生む中心市街地活性化の青写真を描く。すでに市の二つの課や高岡地域地場産業センターも移転させた。

 そんな中、現庁舎が老朽化している市役所のセリオ移転案が浮上している。建て替えにともなうコストが抑えられる可能性がある。実際、栃木県栃木市では、14年に旧福田屋百貨店跡地に市庁舎を移転させた。昨年12月の市議会で市議からセリオへの移転を問われ、河村幹治副市長も「選択肢の一つ」「移転先の候補はセリオを含めて幅広く検討したい」などと答弁した。

 百貨店撤退で取り残された商業ビルをどうするのか。高岡市長選の告示は6月27日に迫っている。(竹田和博、波多野陽)

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 〈オタヤ開発〉 1994年に高岡市御旅屋町に完成した商業ビル「御旅屋セリオ」(地下1階地上8階建て)の管理運営などを担う市の第三セクター。資本金は8千万円で、市が20%を出資。2人の代表取締役のうち1人は副市長が務め、市の産業振興部長も取締役に就いている。