パレスチナのガザ地区をめぐる軍事衝突は「非対称戦」と呼ばれる。イスラエル軍とイスラム組織ハマスの軍事部門には、圧倒的な軍事力の差があるためだ。ただ、戦力差があっても戦いが泥沼化するのも非対称戦の特徴だ。ガザをめぐる対立も「終わりなき戦い」の様相を呈している。(エルサレム=高野遼)
高性能なアイアンドームの働きにより、イスラエル側では多くの人の命が救われた。だが、こうした軍事面のハイテク化が皮肉にも、戦闘の泥沼化を招いている――。そんな見方を示す専門家もいる。
イスラエル・オープン大のヤギル・レビー教授(軍事社会学)は技術革新が生んだ現実をこう分析する。
1点目は、イスラエルによる遠隔攻撃の高度化だ。戦闘機や戦車からの攻撃が正確性を増したことで、イスラエル軍は接近戦を避け、兵士の犠牲を減らすことに成功した。これにより「(命の危険の)リスクをイスラエル兵から、ガザの市民に移す効果があった」とレビー教授は指摘する。
結果として、イスラエル兵の犠牲者を抑えつつ、ガザ地区で数百人規模を超える犠牲者が出る非対称な戦闘が繰り返されるようになった。
2点目は、2011年から配…
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