緊急車両に新サイレン 「ギュイーン」の秘密は不協和音

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板倉大地
【動画】交差点に響く「ギュイーン」 交差点での事故を防ぐため、変わる緊急車両のサイレン=板倉大地撮影
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 緊急車両が鳴らすサイレン音が、交差点で突然「ギュイーン」という聞き慣れない音に変化し、びっくりした人は少なくないはず。いま、そんな新しいサイレンを搭載した消防車や救急車が全国で増えつつある。耳障りと感じた人もいるかもしれないが、それが狙いだ。

 サイレン音は、回転灯製造会社「パトライト」(本社・大阪市)が2014年に開発した。従来のサイレンと違い、2種類の周波数の音を重ねたのが特徴だ。従来の音の周波数は780ヘルツだが、運転席にある「交差点」というスイッチを押すと、1326ヘルツの高音が重ねられ、不協和音が響き渡る。

 開発のきっかけは、各地の消防隊員から「窓を閉め切った車にサイレン音が気づかれにくい」と聞いたことだった。

 警察庁によると、全国で緊急車両が絡む交通事故は2020年に34件起き、うち20件が交差点内だった。過去10年間の事故数もおおむね年30~40件前後と横ばいで、6~7割が交差点内という傾向も変わらず、3人が死亡している。

音の性質を利用

 歩行者も、車内の人も気づきやすいサイレンをつくれないか――。最初は音を大きくする案も出たが、行き着いたのは「音を重ねて変化させる」という発想だった。

 歩行者には2千~4千ヘルツ…

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