ミソジニー満載のドラマ、ハマった私 わずか4年で恐怖

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板垣麻衣子
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暇さえあればサブスクのトップ画面をパトロール。気になる新作は2日で瞬殺してしまうので、旧作をいったりきたり
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 パンデミック下の在宅生活も1年が過ぎ、サブスク動画サービスの新作供給が、私の消費ペースに完全に追いつかなくなった。

 ネットフリックス、HBO Max、アマゾンプライム、AppleTV+を巡回してめぼしい新作があれば即ビンジ(一気見)してしまうので、最近は慢性的に新作が底を突いた状態だ。

 新作リリースを待つ間は、もてあます暇を旧作に向ける。ただここのところ、お気に入りリストに入れてあるドラマやリアリティーショーを見直すと「随分内容が古びたな……」と思うことが増えた。

 #MeToo運動(2017年)やジョージ・フロイドさん殺害事件に端を発するブラック・ライブズ・マターの全米化(2020年)からこっち、映像コンテンツの経年変化がすさまじいのである。

 中でも、ショックが大きかったのが、私が数年前までハマりにハマっていたHow I Met your Mother(2005-2014)だ。90年代の人気ドラマ「フレンズ」のゼロ年代版とも言われた人気ドラマで、現在ではネットフリックス上で「ママと恋に落ちるまで」の邦題で視聴できる(2021年5月時点)。

 物語のプロットは2024年、中年になった父・テッドが、ティーンエージャーの子どもたちをソファに座らせ「パパとママの出会いはね……」と両親のなれそめを語り聞かせるというもの。「未来」の視点からの思い出話という体裁を取りつつ、実際には放送時と同時代のニューヨークを生きる20代のテッドが、the one(運命の人)を探して恋愛と挫折を繰り返すラブコメディーだ。

 クレバーな時間軸操作と伏線、インサイド・ジョークがちりばめられたテンポの速い知的な会話に、あっという間に夢中になった。

 何より、このドラマを成功させているのは、テッドのwingman(ナンパの際に横でアシストする友人)であるバーニーに、あの才能あふれる俳優ニール・パトリック・ハリス(NPH)を当てはめたキャスティングだろう。歌手でマジシャンでもある彼の、エンターテイナーとしての並外れた才能と身体能力、脚本のエグゼキューション(具現化)は見事としか言いようがない。

 ネットフリックスが日本未上陸だった放送当時、私はシーズンが終わるごとに発売されるDVDセットをUSアマゾンで取り寄せ、語り合う友人もいない中、ひとりで黙々とこの作品をめでていた。

 新シーズンのDVDが届くと約6時間かけてビンジし、それを何度もくり返して、意味を取り損ねた伏線やジョークを読解してニヤついていた。2014年、番組終了時には強烈なロスに襲われ、ユーチューブに上がっている出演者たちのインタビュー動画をあさり倒したものである。

 ところが2018年ごろ、久しぶりに見直したこのドラマの内容に強い違和感を感じた。これはほんとうに自分が好きだったあのドラマなのかと――。

女たらしの登場人物は酔った女性らとの性行為を自慢し、主人公はつきあい始めた女性に飼い犬を手放させ……。私はこれを一体どういう気持ちで見ていたのでしょうか?

 まず気になって仕方ないのが…

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