監督はインド出身アニメーター むき出しの人の姿描く

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富岡万葉
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 戦争経験者への追悼を根底に、人が前を向くまでの姿を描いた映画「コントラ」が公開されている。アニメーターとして日本で活躍するインド出身の監督の、骨太な作品だ。

 高校生のソラと父、後ろ向きに歩く謎の男――。登場人物たちはどこまでも人間らしい。なかでもソラは、表情も言葉も全てがむき出しで、「女子高校生」というステレオタイプに押し込められていない。祖父の日記には不安や欲が率直に記され、こちらも「兵士」の内側にある個人があらわになっている。

 全編モノクロの描写に無駄はなく、普遍的で、作り手の国籍を論じる必要を感じさせない。

 ソラは「自由の象徴」だと、アンシュル・チョウハン監督は説明する。そして「狭い世界に閉じ込められ、自由になりたかった私の過去を表しています」。

 1986年、北インド生まれ。祖父も父も軍人で、9歳から18歳まで陸軍士官学校に通った。娯楽とはかけ離れた日々だった。

1日100枚描いて、アニメーターの道へ

 「外の世界」に触れたのは20歳の時。軍隊へ進まず、大学で地理学を学んでいた。宇宙科学の学位につながる試験に向かう電車内で、あるアニメーターに出会った。「私はそれまで、キャラクターは自分で勝手に動くと思っていたのです。動かす人間がいると知ったのは大きな発見でした」。アニメの世界に魅了された瞬間を、冗談交じりに振り返る。

 試験には合格したが、アニメ…

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