最大150万円の支援金、被災判定の変更で返金の理由

阿部峻介
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 東日本大震災で被害を受けた住宅の損壊判定が軽くなると、いったん支給された「被災者生活再建支援金」は返すべきか――。この点が争われた4訴訟の上告審判決で、最高裁第二小法廷(菅野(かんの)博之裁判長)は4日、「返すべきだ」とする統一判断を示した。返金を求められた住民らの敗訴が確定した。

「冷たい判決」

 判決後、会見した住民側代理人の草場裕之(ひろゆき)弁護士は「『支援金を使って生活再建に役立ててください』と支給の窓口で言われたのに、後で返せというなら怖くて使えない。被災地のことを理解しない、冷たい判決だ」と批判した。

 争っていたのは、2011年の震災時に仙台市内のマンション1棟に住んでいた人や遺族ら約60人。地域の震度は5強で、「大規模半壊」とする市発行の罹災(りさい)証明書で支援金を受け取った。だが4カ月後、同種マンションとの比較から疑問に思った市が調べ直し、判定が「一部損壊」に変わって支援対象から外れた。

 窓口業務を担う公益財団法人・都道府県センターが支給を取り消し、返金に応じない住民に1世帯最大150万円を返すよう求めて提訴。住民らも支給取り消しの撤回を求めて提訴した。東京高裁の四つの判決はいずれも「住民に責任はない」としつつ、返金すべきかの判断は割れた。

「公平性が確保されない」

 第二小法廷は判決で、支給したままだと「被害を受けた極めて多数の世帯との公平性が確保されない」と指摘。後で取り消せる仕組みでないと、判定を誤らないよう過剰な調査を促すことになり支給手続きが遅くなるとも言及したうえで、返金は適法で「誠にやむを得ない」と結論づけた。

 生活再建支援金の制度は1995年の阪神大震災を受け、99年に始まった。センターによると、20年3月までに約28万世帯に約4957億円を支給し、7割以上は東日本大震災に関わるものだった。罹災証明の変更で支給決定を取り消したケースは105件あり、うち71件が訴訟になっている。(阿部峻介)