日米同盟に「自助が必要」 田原総一朗氏が首相に提言
4月の日米首脳会談では、共同声明に「台湾」が明記されるなど、台頭する中国と米国との「競争」が主要課題となった。日本を取り巻く厳しい安全保障環境にどう向き合っていくべきか。菅義偉首相と長年交流があり、訪米直前にも首相と面会したジャーナリストの田原総一朗氏(87)に聞いた。
バイデン米大統領は新型コロナウイルスへの警戒が続く中、初めて対面で会談する首脳に菅首相を選んだ。対中対処のパートナーとして同盟国・日本への期待を強めている、と見る。
「米中の衝突を起こさないために…」
「菅さんは会談で、台湾も念頭に米中の衝突を起こさないためにどうすればいいかを考えることが重要であり、日本の役割はそこにある、という考えを伝えた。政府関係者によると、バイデン氏も日本の立場を『支持する』と応じたようだ」
「日米同盟の根底には『日本はカネを負担し、米国の言うことだけを聞いておけばいい』という一方的な関係性がある。それなのに、台湾有事のような事態を起こさないための具体策を日本に期待している。日米関係の大きな変化だ」
田原氏は、安全保障の専門家で慶応大教授の細谷雄一氏と昨年末に勉強会をつくり、自民党の有志議員らとともに月1回のペースで議論してきた。
今年4月9日、細谷氏とともに首相と面会。①民主主義国家間の連携②同盟関係の強化③インド太平洋地域への関与拡大を挙げ、「日米同盟がその三つのすべてにおいて鍵となる」との提言書を渡したという。
「これからは主体的な日米同盟に変わらなければいけない、と話した。菅さんはそうせざるを得ないだろう、と。さらに、菅さんがめざす社会像『自助・共助・公助』を外交哲学に取り入れたらどうか、と提案した。平和のために日本が主体的に動いていく『自助』が必要だ、と水を向けると、やらなければいけない、という反応だった」
そして、4月の日米首脳会談…