第3回響くサイレン、廊下駆ける不審者…緊迫の付属池田小訓練

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森嶋俊晴
【動画】大教大付属池田小事件から20年。教職員の訓練や大学の講義で、教訓を伝え生かす試みが続いている
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 大阪教育大付属池田小学校(大阪府池田市)で児童8人が死亡、児童13人と教諭2人の計15人が重軽傷を負った事件から6月8日で20年になる。同校では毎年この時期、事件の反省と教訓を踏まえた不審者対応訓練を続けている。4月5日、約2時間にわたる訓練の様子を取材した。

 春休みで児童がいない校舎に、警報サイレンの音が鳴り響いた。不審者が侵入した知らせだ。職員室のパネルに、非常用ボタンが押された場所が表示される。1階の105教室。すぐに荒川真一副校長(47)が「アトム班の先生、105に行ってください」と校内放送する。アトム班とは、不審者に対応する災害対応班の通称で、7人いる。副校長は「児童のみなさんは先生の指示に従って、教室に入って鍵を閉めましょう」と続けた。

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付属池田小事件20年 共に歩んで

 訓練に参加したのは真田巧校長(53)ら教職員35人。「犯人」がどこから侵入してどのように行動するかは、一部の教職員しか知らない。臨機応変に対応する力を養うためだ。

付属池田小事件20年 受け継がれる五つの悔いと教訓

事件の教訓を再発防止に生かそうと、小学校は年5回の不審者対応訓練を続けています。大教大は教員を目指す学生たちに、必修科目で事件当時の状況を伝え、その教訓を赴任先の学校に広めるよう呼びかけています。

「下に行った」「AEDを」 飛び交う情報と指示

 同小の教職員は非常時には、五つの班に分かれることになっている。訓練の冒頭、班ごとに訓練の目標を話し合い、全員の前で発表した。

 司令塔となる職員室の「対策本部」の目標は、「指示をしっかり出す」ことと「情報の共有」。アトム班は「ペアで行動」「子どもから遠ざけるよう動く」などを掲げた。

 児童の避難誘導や安否確認をする「児童対応班」▽負傷した児童を捜したり救急車に同乗したりする「救助班」▽被害の全体像を把握し救急隊や医療機関の連絡窓口となる「救護班」も、目標を発表した後に持ち場に分かれた。

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不審者対応訓練の前に話し合って書き出した目標。「ペアで行動」「子どもから遠ざけるよう動く」などの文字が並ぶ=2021年4月5日、大阪府池田市の大阪教育大付属池田小学校

 職員室で110番通報する間に、3階の教室の非常用ボタンが押された。「アトム班の先生、305」。校内放送と同時に、不審者と遭遇した教員から職員室に電話が入った。「下に行った」

 しばらくして、2階にある職員室の前の廊下を走る不審者役の姿が見えた。「2階奥に向かっています。1人」。目撃した職員が声を上げ、走って追いかける教員の姿が見えた。

 「不審者が入って暴れている」「先生たちがさすまたで取り押さえているみたいなんです」。110番や119番の通報は、警察役や消防役の教員の携帯電話に実際にかける。

 訓練で不審者役の教員は、非常階段から1階に入り、教室にいた女性教員に「管理職どこや」「呼んでくれるか」と声をかけた。近くの教室の教員が気づいて「どうしました」と声をかけると、女性教員を襲い、非常階段で3階へ。

 3階では男性教員が、走って…

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連載付属池田小事件20年 共に歩んで(全4回)

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