「顔が!顔が!」
日本時間の午前3時。カナダにいるフィギュアスケートペアの三浦璃来(りく)(19)=木下グループ=から、母親の由理子さんに突然電話がかかってきた。ビデオ通話に切り替えると、三浦が口から出血していた。3月24日にスウェーデンで開幕した世界選手権の、約2週間前のことだった。
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三浦は滞在先で突然ふらついて倒れて顔を強打し、口内を負傷した。カナダは土曜日だったが、パートナーの木原龍一(28)=木下グループ=らが急いで病院を探して治療した。世界選手権は、実は口内に治療器具を入れた状態で臨んでいた。
「今となっては思い出話になりますが、どうしようかと思いました。日本からはどうすることもできないですし。本当に龍一君にいつも助けてもらっています」と由理子さんは話す。
そんな苦境を乗り越えて、三浦、木原組は世界選手権で10位に食い込んだ。初めて自力で2022年北京五輪の日本のペア出場枠「1」を獲得した。
三浦は「シーズンの集大成としての世界選手権でいい成績を残せたというのは、本当に私たちにとって次の成長になると思います」。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、シーズン初めての試合となった世界選手権。自分たちの評価がどれくらいか不安だったが、自信を手にした。
「本当にすごいことだと思い…

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