第5回米中が火花散らす半導体 インテルも勝てない台湾の技術

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ワシントン=青山直篤、北京=西山明宏、台北=石田耕一郎
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デザイン・米澤章憲
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 世界の最先端半導体の9割超を生産する台湾に、台風被害を防ぐ山々になぞらえ、「護国神山」と呼ばれる企業がある。米アップルや世界の自動車メーカーに部品を供給する「台湾積体電路製造」(TSMC)だ。その製品は軍事産業にも不可欠で、台湾を巡って米中が争う主要な理由の一つにもなっている。

連載「台湾海峡『危機』のシナリオ」(全7回)

米国と中国の対立が先鋭化し、中国が台湾への圧力を強めています。台湾をめぐる日米中などの動きや思惑を描く全7回の連載です。5回目は、米中が熱視線を送る最先端の半導体です。この分野で、台湾は他国の追随を許しておらず、米中が争う位一因となっています。

 「米国は何よりも、最先端半導体の製造拠点がほしい」。国際経済担当の米国家安全保障会議(NSC)高官、ピーター・ハレル氏が5月18日、オンラインで開かれた米通信大手主催の会合で、そう力説した。

 あらゆる情報が高速通信で行き交い、自動運転などに活用される今後の世界。軍事面でもドローンによる攻撃や暗号解読など、データ処理と通信技術の優劣が競争の決め手となる。その基盤となる高性能半導体は、20世紀の石油に匹敵する戦略物資となっている。

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現代社会における半導体の様々な用途

 だが米企業では、半導体集積回路(IC)の設計なども広く手がけるインテルが売上高で世界首位を保つものの、回路の幅が10ナノメートル(1億分の1メートル)未満の最先端半導体の製造ではTSMCに水をあけられている。最先端半導体の製造は92%が台湾に集積し、残り8%はサムスン電子のある韓国だ。寡占の構図がもたらす巨大な利益を基盤に、TSMCは他社の追随を許さない巨額投資を重ね、「1強」の地位を固めてきた。

 安全保障面の危機感を強めた米政府は、TSMCに米国での工場建設を強く要請。昨年、現時点では最先端となる回路幅5ナノメートルをアリゾナ州で作ることを確約させた。TSMCの最先端工場が台湾に一極集中する状況が続けば、武力による統一を放棄していない中国が台湾への攻撃や海上封鎖などに踏み切った場合、厳しいリスクが現実化する。半導体供給が限られることで民間経済が大混乱するのに加え、人工知能(AI)を駆使するミサイルなど軍事面でも不利になりかねない。

軍事的バランスすら左右しかねない最先端半導体の供給。中国も米国に負けじと、台湾に追いつけ追い越せを目指します。台湾側の防衛策と合わせてご覧ください。

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