昨年7月に92歳で亡くなった歌人の岡井隆さんをしのぶ会が5日、東京都内で開かれ、オンラインで生配信された。岡井さんが理事長を務めた「未来短歌会」が主催。前衛短歌運動の旗手として活躍し、晩年まで短歌の可能性を追求した岡井さんを追悼した。
未来短歌会の選者の一人、佐伯裕子さんは会の冒頭で、岡井さんが結社誌「未来」の2020年6月号に載せた最後の歌「ああこんなことつてあるか死はこちらむいててほしい阿婆世(あばな)といへど」を紹介した。サヨナラの「あばよ」は、地区によって「あばな」とも言うといい、岡井さんは「少年時代の遊び仲間に『あばな』といって別れていたのでしょう」と推測。子どもの頃の思い出を重ねながら「あばよ」と漢字をあてた表現について「最後まで、緻密(ちみつ)で華麗なレトリックを施しておられたと知ってうれしくなりました」としのんだ。
岡井さんの後を継いで「未来」の編集・発行人を務める歌人の大辻隆弘さんは、追悼の辞で「歌はね、その歌がいちばんよく見えるように読んであげる。それがいちばん大切なんだよ」という岡井さんの言葉を紹介。「なによりもまず、優れた歌の批評者であり、歌を読む達人でした」と振り返った。
同じく未来短歌会で選者を務…
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