山県、けが重ねた末の9秒台 「100mって奥が深い」

堀川貴弘
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 山県亮太が悲願だった9秒台に突入するとともに、日本記録保持者の称号を手にした。五輪参加標準記録(10秒05)も突破し、今月末の日本選手権、そして五輪へと期待が膨らむ。

 標準記録突破をめざした先月5日の水戸招待では、強い向かい風に阻まれた。「風とかそういうのはあまり気にしない性格なんですが、そろそろ気になり始めた」と焦りをにじませた山県。ただ、「練習を頑張っていれば運も味方してくれると思う」とも。約1カ月間で見事に仕上げてきた。

 昨年、一昨年とけがに泣いた。昨年は出場わずか1レース。山県は好調だった時の感覚を取り戻す、というより変化に活路を求めた。コーチをつけない方針を転換し、2月から女子100メートル障害の寺田明日香らを指導する高野大樹氏に「結構べったり見てもらっています」。その効果を「視点が増えた。高野さんは自分になかった発想でいろいろ提案してくれる」と語る。

 速く、そしてけがをしない走法は何か。探り続けた結果、今季は、これまで後ろに残りがちだった重心を少し前へと意識する。ひとつの成果が4月末、織田国際記念を10秒14で制したところに出た。「自分でも周りが見ても調子を戻してきたなと思ってもらえるレースにしたかったので自信になった」

 これまで何度も故障に打ちのめされながら、立ち上がってきた。山県は言う。「けがをするたびにトレーニングのやり方から見直さないといけない。そういう経験を重ねるたびに、ああ、100メートルって奥が深いな、といつも思います」

 2012年ロンドン五輪、16年リオデジャネイロ五輪と本番で自己記録を更新してきた。日本選手権では、3度目の五輪に向けて、サニブラウン・ハキーム桐生祥秀の挑戦を受ける。(堀川貴弘)