熊楠が描いた「マンドレイク」 特別展で公開

勝部真一
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 世界的博物学者の南方熊楠(1867~1941)が描いた「マンドレイク」の絵が、和歌山県白浜町南方熊楠記念館で開かれている特別展「熊楠が収集した雑誌展」で初公開されている。古来さまざまな伝説がある植物に熊楠もひかれたようだ。

 不思議な力を持つ植物として映画ハリー・ポッターと秘密の部屋」にも登場する「マンドレイク」は、「マンドラゴラ」ともいわれる地中海地方などが原産のナス科の植物。ギリシャ神話や旧約聖書にも登場し、薬草としても用いられる。幻覚や幻聴などを引き起こす成分を含み、人間の形によく似た根を引き抜くと、根が悲鳴を発し、それを聞いた人は命を落とすという伝説がある。

 熊楠が英科学誌ネイチャーに発表した約50本の論文の中に、マンドレイクに関する論考(1895年)もある。スケッチ画は人の形のマンドレイクの根を犬が引き抜く場面で、耳を押さえる人も描かれている。1914年に発刊された雑誌「日本及日本人」(第631号)に間に挟まれていたという。

 同展は41年12月29日に亡くなった熊楠の没後80周年に合わせ企画された。ネイチャーなどのほか、日本で刊行された雑誌にも数多く寄稿している熊楠が、日本語で寄稿し、収集した雑誌を中心に約30点を展示。熊楠と交流のあった民俗学者柳田国男(1875~1962)や俳人の河東碧梧桐(1873~1937)らにも焦点をあて、熊楠が尽力した神社合祀(ごうし)反対運動も取り上げている。

 また、初公開となる自筆のマンドレイクほか、可愛らしい猫のスケッチ、昔の写真絵はがきも展示し、大人から子どもまで楽しめる内容になっている。

 9月1日まで。入館料は大人600円、小・中学生300円。木曜休館(6月28~30日は臨時休館、7月20日~8月31日は無休)。問い合わせは同記念館(0739・42・2872)。(勝部真一)