関電、元助役側から高値で土地を賃借 金品問題発覚後も

室矢英樹、白木琢歩
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 関西電力の元役員らが福井県高浜町の元助役から金品を受領する一方で原発関連工事での便宜を図っていた問題で、関電が2016年から、元助役関係会社の所有地を資機材置き場として高値で借りていたことが分かった。関係会社側が得る収入は相場の2倍超だった。関電関係者によると、社内で賃料の高さが指摘され、関電はこの賃貸借契約を今年3月に解除した。

 関電は問題発覚後の20年3月、元助役が関わる会社を工事で指名停止にしたが、関係会社側に有利な賃借の取引をその後も続けていた。

 元助役は、関電高浜原発がある高浜町の森山栄治氏(19年に死去)。金品受領問題を調べた第三者委員会の報告書によると、関電は16年7月、町内の土地の賃貸借契約を結んだ。賃料は月額120万円だった。

 関電関係者によると、この土地は約1万3千平方メートルで、所有者は町内のゴルフ練習場運営会社。この会社は、森山氏が経営に関与した土木建築会社「吉田開発」の関係会社だった。

 この土地の実勢価格は当時、1平方メートル約8千円。関係会社側が土地を貸して得られる年間の賃料収入の利回りは、相場の5%前後を上回る約14%だった。

 だが、関電はこの土地の実勢価格を同2万円近くと設定。この結果、利回りは相場に近い約6%とされた。関電関係者の1人は取材に「関電は地価を上げて賃料を高くした」と指摘する。契約を解除する前、賃料が高いとする指摘が社内で出ていたという。

 関電はこの土地を、再稼働を目指す高浜原発のテロ対策施設などの建設工事で、資機材を置くことに使った。第三者委によると、関電は16年に賃貸借契約を結んだ4カ月後に、森山氏に契約の内容を知らせる資料を渡していた。

 町の土地台帳によると、関電は1988年にこの土地を購入し、05年に吉田開発の関係会社に売却。その後、警備会社など森山氏関係会社間で転売された。関電は売った土地を後に高値で借りたことになる。

 金品受領問題で関電は20年3月、吉田開発などを指名停止にしたが、別の関電関係者はこの土地賃借について「指名停止の対象は競争発注で、土地取引は含まれない」と説明する。3月の契約解除は「賃料や取引の経緯、必要性の有無などを考慮した」としている。

 関電の元役員らは金品受領問題などで刑事告発され、大阪地検特捜部が捜査中。金品を受領していた旧取締役らを相手取った株主代表訴訟は、3月に大阪地裁で審理が始まった。関電の株主総会は6月25日に予定されている。(室矢英樹、白木琢歩)

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 関西電力広報室の話 第三者委員会には金品受け取り問題等について客観的かつ徹底的な調査をして頂いた。その後は、業務改善計画に基づき、外部の専門家の審査等を通じて、工事の発注や契約等に関する手続きの適切性、透明性の確保に努めているが、個別の契約内容については回答を差し控えさせて頂く。

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 〈金品受領問題〉福井県高浜町の森山栄治氏は町助役を1987年に退任後、吉田開発などの経営に関与し、関電に高浜原発などの工事や業務の発注を求める一方、関電幹部らに金品を提供。関電は発注約束や情報提供など便宜を図っていた。判明した受領は83人、計約3億7千万円相当で、1億円以上受けた元幹部も2人いた。関電の第三者委員会は、吉田開発が森山氏に約3億円程度の謝礼を提供し、幹部らに渡った金品の原資の一部になった可能性を指摘した。自らも受領した八木誠会長や岩根茂樹社長らが引責辞任した。