「悩み一人で抱えないで」医療的ケア児親の会・根本さん

鹿野幹男
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 人工呼吸器やたんの吸引などを必要とする医療的ケア児は、茨城県内に約400人。2016年、県内の医療的ケア児の家族らと「かけはしねっと」を結成。医療機器の支えがないと生きるのが難しい子どもたちの命を守ろうと、医療職を含めた約50人の仲間らと奔走している。

 長男侑弥さん(15)は生後まもなく、酸素が脳に届かない「無酸素性脳損傷」になった。誤嚥(ごえん)性肺炎を繰り返したため、2歳で胃ろうの手術を受けた。特別支援学校に通うが、たんの吸引が1日30回必要で、鼻から酸素吸入も欠かせない。

 18年9月の台風では、つくば市内の自宅で停電が約10時間続いた。不安に駆られて約12万円を支払い、自費で発電機を購入した。自宅で停電復旧を待つための支援の必要性を痛感して、発電機購入の助成をつくば市議会に請願。採択に後押しされ、19年4月から1人10万円の助成が受けられるようになった。

 根本さんによると、侑弥さんのような重症心身障害児と異なり、酸素吸入をしていても歩ける子どももいるが、保育施設や学校の受け入れ態勢が十分でない自治体もあるという。「酸素(吸入)さえなければ受け入れられる」。市職員の一言に、絶望感を深める親もいるという。

 今年1月、仲間と医療的ケア児の保護者らにインタビューを重ね、冊子を作成した。幼稚園や保育園、小学校への就学や旅行など日々の暮らしの場面で直面する課題への対応を、メンバーの体験をもとに記した。医療機器を体に接続された姿を見るのがつらく、すくすく成長する周囲の子と比べて葛藤する親も多い。そんな心境を聞き取り、「悩みを一人で抱えないで」と相談を呼びかける。

 3月、つくば市医療的ケア児専門の相談窓口を立ち上げた。福祉、医療、教育……。これまでは部署ごとに職員とアポイントをとり、その都度役所へ足を運んでいた負担が少し省ける。「保護者の負担を減らし、この子たちの命を守るための支援が得られるよう力を尽くしたい」(鹿野幹男)