変わり続ける山県亮太 記者が聞いた、スタート前の思考

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加藤秀彬
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 6日にあった陸上・布勢スプリントの男子100メートルで9秒95の日本新記録を出した山県亮太選手(28)=セイコー=は、私にとって、慶応大競走部の2学年先輩だ。理想の走りを追い求めて練習に打ち込む姿を間近で見てきた。

 大学時代の山県選手は、1本1本の走りにこだわる選手だった。練習で走るたびに、マネジャーが撮影した動画をチェックした。イメージがわくまで10分以上走らず、スタート地点でたたずむこともあった。

 得意のスタート練習では、周囲の空気が一変する。「セット」の姿勢から腰を上げ、数秒間ぴたりと止まる。そして、無駄のないスムーズな動きで飛び出す。部員は、その姿を固唾(かたず)をのんで見つめていた。

 そのスタートが特に輝いたのが、2016年リオデジャネイロ五輪の準決勝だ。号砲からブロックを蹴るまでの反応速度は、0秒109を記録した。人間の限界と言われる0秒100に迫った。

 後輩思いで、どんな質問にも優しく答えてくれる先輩だ。スタートの時のコンマ数秒で何を考えているのか、リオ五輪後に聞いたことがある。

 その独特な答えを、今でも鮮明に覚えている。

 「武士の居合って見たことあ…

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