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「国民の自主努力に頼りすぎ」 英国帰りで考える日本

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聞き手 編集委員・辻外記子
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 公衆衛生学が専門で、この春まで英国キングス・カレッジ・ロンドンの教授だった渋谷健司さんは5月に帰国し、福島県相馬市新型コロナワクチンの接種事業を支援しています。接種が迅速に進むコツや、日本の新型コロナ対策をどうみるか。話を聞きました。

東日本大震災の教訓生きる

 ――相馬モデルと呼ばれる方法の特徴は。

 接種する日時を地区ごとに決めた、集団接種を基本としています。予約は不要で、その日に会場にくればいい。

 自力で来場できない方には送迎をするなど、とり残される人がいないようにもしています。

 市では昨年12月からシミュレーションをして、個別接種だけでは期限内に終わらないとわかったため、集団接種にしたのです。

 市長のリーダーシップと、東日本大震災を乗り切った危機対応への備えがあった。この二つが背景にあったことが大きい。

 相馬市医師会とも非常によい連携ができていて、9割の先生が会場に来て接種をしてくれています。

 ――接種が進んでいると聞きます。

 6月4日時点で、高齢者の約半数は2回目の接種が終わりました。7月中には、16歳以上の希望する人全員に打ち終わるのではないかとみています。

 新型コロナに打ち勝つにはスピード勝負で、総力戦です。会場設営の仕方や、どうやって滞在時間を短くするかとか。ノウハウをほかの自治体とも共有できたらいいなと思います。

 相馬市が何か特別なことをしているということではなく、きちんと準備をして、皆がやるべきことをする。日々、改善すべき点は改善しているということです。

国民の自主的努力頼り

 ――日本の新型コロナ対策をいま、どうみていますか。

 感染症対策の基本は三つです。一つ目が感染経路の遮断、つまりマスクや手洗い、三密を避けるなどの社会的距離をとること。二つ目が、検査をして感染者を見つけて隔離する。三つ目が免疫をつける、つまりワクチンです。

 日本ではいまだに一つ目がメインで、国民の自主的努力に頼っている。飲食店の時短営業もそうですが、持続には限界があります。皆さん疲れて、緊急事態宣言が出ている地域でも人が出ています。何よりも社会経済が疲弊します。

 ワクチンの承認プロセスは何…

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