「原点」教えてくれた被害者 警察官の秋葉原殺傷13年

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増山祐史
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 東京・秋葉原で7人が殺害され、10人が重軽傷を負った無差別殺傷事件から8日で13年を迎える。警視庁は、被害者と家族への対応に特化した「支援本部」を初めてこの事件で設けた。捜査だけではない警察の事件への向き合い方を、今も語り継ぐ警察官がいる。

「家族と思って尽くせ」

 犯罪被害者支援室に着任したばかりだった奥田暁宏警部(51)=当時は警部補=は、現場にほど近い万世橋(まんせいばし)署(千代田区)に泊まり込んだ。

 支援本部のメンバーは、犯罪被害者支援室と周辺の警察署から集められた計44人。警察や病院への送迎・付き添いに加え、国の制度の説明や申請の手伝い、職場や学校への連絡、カウンセラーの紹介などにあたった。

 「発生直後に被害者に寄り添えるのは警察だけ。捜査と同様に力を尽くさなければいけない」。被害者や家族の怒りや不安、悩みを聞いたり、刑事に個別の事情を説明して事情聴取での配慮を要請したりするのも、重要な仕事だった。

 もともと刑事として、事件や事故の被害者や家族に接することは多かった。部下には「家族と思って尽くせ」と指示する一方、ストレスを抱えた部下の悩みを聞いては励まし、感謝を伝えた。

 「すべての被害者と家族の記憶が鮮明」と言うが、中でも仕事の「原点」を教えてくれた人がいた。

 刺されて重傷を負った20代…

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