火星みたい!これが南極?体当たりして砕氷、昭和基地へ

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中山由美
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 午前0時、時計を1時間戻して午後11時に合わせ、ちょっと得した気分になった。2019年暮れ、トッテン氷河沖観測を終えた南極観測船「しらせ」は南極大陸の沖を西へ回り、毎日のように時刻帯が変わる。時計を直し忘れて「早く起き過ぎた」と間違える隊員も。日本より6時間遅い時差の「昭和基地時間」に日に日に近づいていく。

 船内では輸送や建設、安全、無線などの講習が続く。野外用の食料仕分けは全員作業。食堂の机に段ボールが山積みされ、「地圏グループはキャベツ5個、測地は3個……」と食材を抱えて大勢が行き交う。

 船酔いは忘れていた。パソコンに向かえば頭が重くなるが、動いていると平気。「吠(ほ)える40度、狂う50度、叫ぶ60度」と恐れられる暴風圏でも揺れなかった。この南緯50~60度の海は強風と高いうねりで常に荒れる。右に左に揺さぶられ、前の観測船は53度傾いたこともあった。でも今のしらせはさほど揺れない。船底の形や重心が変わったこともあるが、「風や低気圧の動きをみてうまくかわした」と乗員が話していた。

 流氷漂う海に入れば穏やかだ。でも氷が密集すればまた大変。厚さ数メートルの堅い海氷には、バックして勢いをつけて体当たりする「ラミング」を挑む。グォーンゴゴゴ……、振動が突き上げ、行く手の氷海に稲光のごとく裂け目が走る。ラミングを繰り返しても「1時間で200メートルしか進めなかった」なんてことも。そんな船を横目に、ペンギンたちが追い抜いていく。

 12月29日午前9時37分…

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