向井千秋さん、宇宙視点で語る性差別 地上の常識を刺激

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構成・高津祐典
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 日本初の女性宇宙飛行士向井千秋さん(69)は、いま東京理科大学特任副学長として女性活躍推進の仕事をしています。宇宙の視点から「多様性」を考えている向井さん。話を聞きながら、常識がぐらぐらと揺らいできました。

写真・図版
向井千秋さん

 ――女性の研究者の環境について、向井さんが改善しないといけないと思うものは何ですか。

 本当は文化のレベルから改善しないといけないと思います。

 何の仕事をしていても社会の一員という意識を持って、互いにリスペクトし合う「社会参加型」になるのが大切だと思っています。女性が家事や育児をしないといけないわけではなくて、役に立てるなら何でもできる社会にしないといけません。

 そのためには女性の環境だけ良くしようとしても頭打ちになってしまいます。男性も高齢者も、多様性を認めて、どんな働き方で社会に貢献していてもそれをよしとする文化が必要だと思います。

 ――差別が生み出す「ガラスの天井」を感じたことはありますか。

 心臓外科で働いていた時に、アメリカの有名な女性心臓外科医が「ガラスの天井がある」と言っていました。鳥が窓ガラスにぶつかって外にいけないように、見えない「ガラスの天井」にぶつかって、いくらやっても先にいけない人もいると思います。

 アメリカでは女性だけではなく、人種や宗教など、様々な「ガラスの天井」があります。私の場合は「ガラスの天井」があるから先にいけないとは思わないようにしていました。女性だから、国境があるから、できないという結論を導くのは、気をつけないといけない側面もあると思います。

 日本人だから、女性だから「ガラスの天井」を越えられないというと、かえって偏見に縛られて活動範囲が決まってしまうこともあります。ぶつかって飛べなくなるまで飛べばいいや、と考えていました。

 ――日本人女性は自己肯定感が低いからこそ、ステレオタイプの価値観に縛られてしまいがちなのかもしれません。

 それは日本人一般に言えると思います。どんなにおいしいお菓子でも「つまらないものですが」となりますよね。

 ――謙遜しすぎる文化がある、という。

 そう。親が「うちの子はダメで」というのも良くなくて、いいところは褒めてあげる。その上で、より良くしようとする。能力ある子どもたちがいじけてしまいます。

「料理は宇宙飛行士の訓練に似ている」「重力という先入観を取り払ってみたら?」。インタビュー後半では、常識を揺さぶる宇宙視点の言葉が飛び出します。

 ――宇宙ではジェンダーギャップを感じず仕事はできましたか。

 これまでやってきた外科医の…

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