衝撃の星雲、実は疑似カラー 「制御不能」を遊ぶ中西學

田中ゑれ奈
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 自身の意図を超えた存在や現象を前に、美術家の好奇心は燃え上がる。「制御できないもの」と人の精神の間に起こる、幸福な化学反応だ。

 中西學(まなぶ)は1980年代に「関西ニューウェーブ」と呼ばれた若手作家の一人としてデビュー。90年代以降は宇宙や生命の根源を主題に、平面や立体の作品を制作してきた。

 今回、ギャラリーの庭に据えたのはドローイングに基づく彫刻作品「Nebula(星雲)」シリーズ。90年代後半、ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた画像に衝撃を受け、色鮮やかな星雲のイメージを作品化しはじめた。

 ただし、それらの画像の美しいグラデーションは後に、疑似的に色づけした「疑似カラー」だと知る。幻だった「抽象絵画みたいな宇宙」は今、庭のあじさいの色と呼応し、制作当時の意図を離れて新たな姿を見せる。

 中西は近年、作為で制御しきれない「現象」に関心を寄せる。古事記の国生み神話に着想を得た「Vortex(渦流)」では、水の動きを使う伝統的な染色技法の墨流しを応用。最新シリーズ「White Cave(白い洞窟)」では、絵の具に混ぜて使うメディウムに着目、成分によってなじんだり反発したりする作用を借りて、水や風の侵食で地形が変化した鍾乳洞のイメージを表現する。

 作品を乾燥させようと放置した翌朝、思いがけず奇妙な形態が出現した。「予期せぬものと邂逅(かいこう)してしまった」と語るとき、作家の目は一段と輝く。

 「中西學展 連成現象」は大阪市中央区の楓ギャラリー(06・6761・0388)で13日まで。(田中ゑれ奈)