休館して見えた美術展と学芸員の今後「ファンとともに」

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田中ゑれ奈
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 閉めるか、開けるか。コロナ下の文化施設をめぐり、同一自治体内でさえ判断が分かれる状況は、不条理にも思える。目と鼻の先の奈良国立博物館が開館を続けるなか、開幕からわずか2週間で臨時休館に入った奈良県立美術館の「高島野十郎(やじゅうろう)展」。休館のまま迎えた会期末の3日間、ひっそり開催された「特別観覧」には、学芸員と美術ファンらの万感の思いが満ちた。

 徹底した写実表現で知られる福岡出身の洋画家・高島野十郎の生誕130年を記念する巡回展。「蠟燭(ろうそく)」シリーズを中心に近年、人気が高まっている画家だが、関西では初の本格的な回顧展だった。2017年の「ニッポンの写実」展などで近現代日本のリアリズムを扱った実績のある深谷聡学芸員に声がかかり、他館とともに約3年かけて準備を進めてきた。

 企画当初、1カ月半の会期で入場者数は強気の1万5千~1万8千人を見込んでいた。だが、感染拡大の第4波が展覧会を襲う。4月末、奈良県は近接府県への緊急事態宣言を受けて独自の「緊急対処措置」を発表。5月1日に臨時休館が始まり、宣言延長で再開は絶望的になった。

 「いつ見られるのか」「会期…

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