韓国軍下士官、上官からの性的被害訴え自殺 大統領謝罪

ソウル=神谷毅
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 韓国で空軍の女性下士官が部隊内で上官から性的被害を受けたと訴えて自殺した事件があり、文在寅(ムンジェイン)大統領は6日、「国が守ってあげられず、申し訳ない」と遺族に謝罪した。事件をめぐっては空軍による隠蔽(いんぺい)の疑いなどが指摘されており、文氏は徹底的な捜査を指示した。

 韓国メディアなどによると、空軍戦闘飛行団所属の女性下士官が3月初め、上官から性的被害を受け、直後に別の上官に申告。5月下旬に官舎で自殺した状態で発見された。

 一連の経緯は5月末に報じられた。性的暴行を働いたと告発された上官は事件の直前、韓国政府や軍の防疫指針に背いて会食したとも報じられている。さらに、性的暴行と会食の事実が表沙汰にならないように、女性への組織的な圧力があった疑惑も取りざたされている。軍内部の捜査の不備なども報じられ、世論から強い批判が集まっている。

 性被害の発生から3カ月が経った今月2日、軍監察などによる捜査チームがこの上官を逮捕。これを受けて空軍の李成竜(イソンヨン)参謀総長は4日、辞意を表明し、文氏も受け入れた。

 大統領府の報道官によると、文氏は6日、国軍首都病院に設けられた女性の追悼所を弔問に訪れた。亡くなった女性の父親は「娘の恨みを晴らし、名誉を回復してほしい」と訴え、母親は「徹底して捜査してほしい」と求めた。文氏は同行した徐旭(ソウク)国防相に徹底的な調査とともにセクハラパワハラなどが横行する軍部隊内の状況を念頭に「兵営文化を変えなければならない」と指示した。

 大統領府によると文氏は7日、改めて兵営文化の改善を会議で指示。「兵営文化を改善するための機構を設けて根本的な改善の契機にし、機構には民間の委員も含めるようにするべきだ」と強調した。国会では現在、兵士らが公平な裁判を受ける権利を保障するため軍事法院(裁判所)の独立性を図る軍事法院法の改正案が提出されている。文氏はこの法案を「再発防止のために迅速に処理してほしい」と求めた。(ソウル=神谷毅)