アルツハイマー病新薬「ゲームチェンジャー考えにくい」

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米マウントサイナイ医科大・山田悠史
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 製薬大手のエーザイと米バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病治療薬候補「アデュカヌマブ」が7日、米食品医薬品局(FDA)により承認された。認知機能の低下を抑える世界初の薬として優先審査の対象となり、日本でも昨年12月に承認を申請した。

 だがFDAは今回、効果を見極めるため、今後も追加の臨床試験を行うよう求めた。米ニューヨークのマウントサイナイ医科大老年医学・緩和医療科の医師、山田悠史さん(38)は「アデュカヌマブが認知症治療薬のゲームチェンジャーになるとは考えにくい」と指摘する。その理由について、緊急寄稿した。

不要なたんぱく質を取り除く「抗体」

 アルツハイマー病の治癒は、多くの人が期待する人類の夢の一つです。今回認可されたアデュカヌマブも、そんな期待を乗せて研究が行われてきた薬剤です。

 アデュカヌマブは、アルツハイマー病の患者さんの脳の中に比較的早期から見られ、病気の一因を担っているのではないかと考えられている「アミロイドβ」に対する「抗体製剤」です。

 「抗体」という言葉は、新型コロナウイルスに関連してすっかり有名になりましたが、ウイルスだけでなく、不要なたんぱく質を取り除くことにも活用できるのです。

 アミロイドβが原因を担っているのであれば、それを取り除いてあげればアルツハイマー病の根治的な治療になるかもしれません。この薬は、そんな高い期待感とともに開発が進められてきました。逆に言えば、この薬剤が有効と分かれば、アミロイドβが原因として大きな役割を果たしていると確信を持って言うことができるようになります。

 世界で約5千万人はいると言われる認知症患者(https://www.alzint.org/resource/world-alzheimer-report-2015/別ウインドウで開きます)。その最も多い原因がアルツハイマー病です。この20年で100を超える薬剤が開発されたのは、全く不思議なことではありません。それほど多くの人が、身体的に、精神的に、あるいは経済的に、この病気に苦しめられ続けているのです。

四つの既存薬との違い

 これまで承認を受けた薬剤は四つあります。アルツハイマー認知症の「治療薬」として用いられていますが、そのいずれもが残念ながら病気の原因に迫るものではなく、神経の機能を調整する薬です。

 薬の効果は「症状をわずかに軽くする」「進行をなだらかにする」程度で、進行を止めたり、病気を治したりする効果は見られないことがわかっています。

 また、それらの効果と引き換えに、食欲を減らしたり、睡眠を浅くしたりする副作用が知られており、日常生活の重要な要素が奪われかねないリスクを持ちます。このため、一部の先進国では、これらの薬の承認すらされていません。

 そんな中で登場したのが、期待の「抗体製剤」でした。

 アデュカヌマブに先んじて「…

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