東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国の一連の外相会議が7日、中国・重慶で始まった。南シナ海の領有権をめぐる争いが続くなか、中国は新型コロナウイルス対策や経済への支援で批判を抑え込む構えだ。国軍のクーデターによる混迷が続くミャンマー情勢も議論された。(高田正幸=北京、西村宏治=シンガポール、半田尚子)
「本当の友好国ならしないはず」
マレーシア沖の南シナ海上空で5月31日、中国軍の16機の戦略輸送機が領空に近づいたとして、マレーシア空軍機が緊急発進する事態が起きた。マレーシア側は「国の主権と空の安全への脅威だ」と反発し、外務省が中国大使を呼び出して抗議した。
マレーシアはコロナの感染拡大以降、医療物資やワクチンの調達で中国の支援を受けているが、昨年には中国の艦艇がマレーシアの排他的経済水域(EEZ)に侵入するなど、南シナ海の実効支配を進める中国への反発は根強い。
マレーシア外交筋は、輸送機の飛来について「マレーシアの反応がどれほど弱いかを試しにきた」「本当に友好国だというなら、こんなことはしないはずだ」と語り、憤りを隠さない。
フィリピン沖の南シナ海でも3月、フィリピンのEEZ内で200隻以上の中国漁船が集結しているのが確認され、フィリピン政府は中国に繰り返し抗議して撤収を要求。ロクシン外相がツイッターで「うせろ」と非難するなど、中国への反発が高まった。
中国に譲る気配はない。マレ…